国民年金の保険料を納めない人が多いそうですが、現状と問題点を教えて。
障害・死亡時 様々な不利益
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/6b/da5c80763a200cf7d08c2f0c849b5d11.jpg)
20歳以上60歳未満のすべての国民は、国民年金(基礎年金)に加入する義務がある。会社員の場合は、給与天引きの厚生年金保険料に国民年金の分も含まれている。一方、国民年金だけに加入する自営業者や学生など「第1号被保険者」は、自分で保険料の納付手続きをする必要があり、未納が起きやすい。第1号の保険料納付率は、1990年代半ばまで80%を超えていたが、徐々に低下。2010年度は59・3%で過去最低を記録した。特に若い世代で低く、25~29歳では46・6%だ。
背景には、非正規雇用の増加がある。現行では、パートなど短時間労働者は厚生年金の対象外なので、国民年金に加入する。1号のうち「臨時・パート」の割合は、1999年の17%から2008年には26%へ上昇。こうした人たちは一般に収入が少なく、未納者が目立つ。
年金不信も一因だ。厚生労働省の08年の調査では、未納の理由として制度への不安・不信を挙げた人が14%で、経済的理由に次いで多かった。
未納者が増えても、年金財政への長期的な影響は小さいとされる。未納分は将来の年金給付も生じないからだ。未納者数も「過去2年間、全く保険料を納めていない人」に限れば、10年度末で321万人と1号の16%程度。公的年金の加入者全体(6826万人)の4・7%に過ぎない。
むしろ問題なのは、未納は本人にとって不利益が多いことだ。未納期間の分は将来全く年金をもらえない。年金受給に必要な資格期間(原則25年)にも算入されず、最悪の場合は無年金だ。障害を負っても障害基礎年金を受け取れない、死亡しても残された家族に遺族基礎年金が支給されない、という恐れもある。
保険料を払えない低所得者のためには、納付の免除や猶予(学生納付特例、若年者納付猶予)の制度が設けられている。免除期間については、老後に少なくとも基礎年金の半分は受け取れる。税金で賄われている分だ。猶予では、10年以内に追納すれば基礎年金を全額もらえる。これらの期間は受給資格期間に算入されるほか、障害・遺族基礎年金の対象にもなり、未納とは大違い。申請は市区町村の担当窓口へ。
(2012年6月12日 読売新聞)
障害・死亡時 様々な不利益
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/6b/da5c80763a200cf7d08c2f0c849b5d11.jpg)
20歳以上60歳未満のすべての国民は、国民年金(基礎年金)に加入する義務がある。会社員の場合は、給与天引きの厚生年金保険料に国民年金の分も含まれている。一方、国民年金だけに加入する自営業者や学生など「第1号被保険者」は、自分で保険料の納付手続きをする必要があり、未納が起きやすい。第1号の保険料納付率は、1990年代半ばまで80%を超えていたが、徐々に低下。2010年度は59・3%で過去最低を記録した。特に若い世代で低く、25~29歳では46・6%だ。
背景には、非正規雇用の増加がある。現行では、パートなど短時間労働者は厚生年金の対象外なので、国民年金に加入する。1号のうち「臨時・パート」の割合は、1999年の17%から2008年には26%へ上昇。こうした人たちは一般に収入が少なく、未納者が目立つ。
年金不信も一因だ。厚生労働省の08年の調査では、未納の理由として制度への不安・不信を挙げた人が14%で、経済的理由に次いで多かった。
未納者が増えても、年金財政への長期的な影響は小さいとされる。未納分は将来の年金給付も生じないからだ。未納者数も「過去2年間、全く保険料を納めていない人」に限れば、10年度末で321万人と1号の16%程度。公的年金の加入者全体(6826万人)の4・7%に過ぎない。
むしろ問題なのは、未納は本人にとって不利益が多いことだ。未納期間の分は将来全く年金をもらえない。年金受給に必要な資格期間(原則25年)にも算入されず、最悪の場合は無年金だ。障害を負っても障害基礎年金を受け取れない、死亡しても残された家族に遺族基礎年金が支給されない、という恐れもある。
保険料を払えない低所得者のためには、納付の免除や猶予(学生納付特例、若年者納付猶予)の制度が設けられている。免除期間については、老後に少なくとも基礎年金の半分は受け取れる。税金で賄われている分だ。猶予では、10年以内に追納すれば基礎年金を全額もらえる。これらの期間は受給資格期間に算入されるほか、障害・遺族基礎年金の対象にもなり、未納とは大違い。申請は市区町村の担当窓口へ。
(2012年6月12日 読売新聞)