重度の障害があっても地域で安心して暮らせる公的介護を求める当事者や支援する弁護士が、「介護保障を考える弁護士と障害者の会全国ネット」を結成した。事務局を立川市に置き、無料相談窓口を設けたり、介護保障問題に取り組む弁護士を講師として無料で全国に派遣したりする。
重度障害者の介護に関しては、和歌山地裁が今年四月、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者へのサービス提供時間を、和歌山市が決めた一日約十二時間から二十一時間以上に拡大するよう義務付ける判決を出した。これを機に長時間介護を求める動きが全国で広がっているものの、支給量は市町村の裁量で差が出ているのが実情だ。
ネット共同代表の藤岡毅弁護士は「現実には障害がある方が裁判を起こすことはハードルが高い。裁判に至らずに解決したい」と話す。立川市では今年に入り、二十四時間介護の支給を求める変更申請のために弁護団を結成。本人の生活状況などを詳細に説明する資料などを提出したところ、認められる例があったという。
筋ジストロフィーの患者で二十年以上、二十四時間介護を受けながら暮らす野口俊彦さん(61)=立川市=も共同代表に就き、「家族の世話にならなくても自分でちゃんと生きていけるんだという人をどんどん増やし、地域の中で自立していけるよう弁護士と障害者が連携をとっていきたい」と話した。
相談窓口はフリーダイヤル(0120)979197。月-金曜の午前九時から午後六時。メールは、kaigohoshou@gmail.comへ。
ネットワークの結成を発表するメンバー=都内で
東京新聞-2012年12月2日