生活に制度適応 学生の“若い力”生かす
「誰もが住みなれたところで暮らせるように」。そんな思いを実現するため、生活を制度に合わせるのではなく、一人一人の生活に制度を活用する考え方で、障害者や高齢者を対象にしたヘルパー派遣などを展開。学生の“若い力”を生かす「と・らいず」独自の仕組みを駆使しつつ、利用者の思いに応えている。
同社は、障害者から子どもの支援、まちづくりまで多彩な事業を手掛ける姉妹団体、NPO法人み・らいず(大阪市住之江区)から独立して2006年に誕生。
障害者の地域生活に必要な訪問介護員(ホームヘルパー)や移動支援従業者(ガイドヘルパー)の派遣を中心に、高齢者を対象にしたホームヘルパー派遣、障害児支援などを行う。支援者がいないために施設に入居しなければならないといったケースを防ぎ、本人が暮らしたいところで暮らしてもらうのが目的だ。
北野喬士代表は同社のヘルパー派遣の利用を通じて「自分が存在する価値を実感してもらえれば」と話す。
支援が必要な人の中には迷惑を掛けていると感じている人も多いという。しかし、障害者や高齢者とのかかわりが「支援者自身の成長につながる」と北野代表。自身も障害者支援を通し、他者の価値観を受け入れて初めて成立する人と人との信頼関係などを学んできたという。
事業運営では、一人一人の状況や思いに合った支援を模索し、「将来こうなりたい」という気持ちに寄り添う姿勢を重視。その実現に欠かせないのが「み・らいず」との連携だ。同法人では障害者の就労支援なども手掛け、両者が支援の両輪となっている。
また、同社ならではの仕組みが学生の活用。現在同社のヘルパー登録は約150人だが、ほぼ全員が大学生だ。比較的時間の融通が利きやすく、体力がある点に着目。約10の大学の協力を得ながら、毎年度人が集まるようになっている。
中でも、1年間のインターンシップ生を受け入れているのが仕組みを円滑に機能させるポイント。現在約20人が制度を活用し、学生ヘルパーのまとめ役になるなど活躍しているという。
この仕組みは学生にとっても、コミュニケーション能力や将来を考える力など、多彩な力を磨く貴重な機会となっている。
事業所は大阪市だけでなく堺市や京都市でも展開。北野代表は「今後さらに広げるとともに、一人一人の支援の質を向上させていきたい」と意欲を示す。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/3f/629bd5dec82ae81e32c31c80b599ebbe.jpg)
大学生のインターンシップ生(右端)の力も生かしながら事業を展開する職場
障害者や高齢者向けヘルパー派遣
と・らいず
■代表者 北野喬士
■住 所 大阪市住之江区南加賀屋4の4の19
■資本金 1200万円
■社員数 24人
■電 話 06(6683)9933
■URL http://www.to-rise.com/
大阪日日新聞-2012年12月4日