障害者の自立・社会参加を支援するカルチャースクール「Mao」(松下弘美代表)が境港市上道町に開講した。知的障害や発達障害のある子どもや大人に、生活スキル(能力)を指導し、個々の得意分野や趣味を見つけてもらう。「障害者の夢や希望のもてる生活を応援したい」と意気込んでいる。
境港市在住の松下代表は、24歳と18歳になる自閉症の息子がいる。米子養護学校PTA会長や鳥取県特別支援学校PTA連合会長を務め、人脈も広い。
スクールの開設は、授産施設の低い賃金や社会参加へのスキルを磨く場が少ないなど、障害者を取り巻く現状が自立とはほど遠い環境にあることへの危機感から。
今年3月、同名の運営・イベント企画会社を設立。東京で音楽や障害者支援をしていた知人の佐藤幸彦さん(58)も趣旨に賛同し参画した。煮干し倉庫だった建物(約300平方メートル)を改装し、教室や事務室、生活スキルを実習する調理室、洗面所などを整備し、今月20日に開業した。
障害児(者)を対象にした生活スキルクラスは、「自分一人でできることを増やす」を目指し、調理や掃除、お金の計算、言葉の学習をする。事前に個別相談し、各自に適した授業内容を組み立てる。
また、一般の人も対象にするカルチャークラスで、習字、料理、パソコン、音楽など多彩なメニューの中からそれぞれが得意な分野や楽しめる趣味を見つけ、伸ばしていく。障害のある人もない人も一緒に楽しめる各種イベントも企画する。
松下代表は「今の福祉の制度では個々の障害者の能力を伸ばす余裕はない。障害者が豊かな人生を送るために民間でサポートするシステムを確立したい」と話している。
受講料は、両クラスとも1回(50分)2千円。問い合わせは電話0859(21)5342、Maoへ。
開講したカルチャースクール。障害のある人も受け入れる=20日、境港市上道町
日本海新聞-2013年7月27日