ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

災害時要援護者:支援に福祉版「DMAT」検討

2014年03月24日 02時38分45秒 | 障害者の自立
 大規模な災害時に福祉専門の要員を被災地へ派遣し、高齢者や障害者など「災害時要援護者」の避難生活を支援する体制づくりが、全国で始まっている。避難所などで要援護者を十分に支えられなかった東日本大震災の反省に立つ取り組みで、災害発生初期に被災地へ入る災害派遣医療チーム「DMAT」の福祉版の発足が想定されている。厚生労働省によると東北6県など16都府県が既に体制づくりに着手しており、このうち岩手、熊本両県は支援チーム設立まで進行。南海トラフ巨大地震が予想される東海地方では愛知、三重両県が具体的な検討を進めている。

 東日本大震災では、避難所に専門的知識を持つ要員をほとんど配置できず、障害者らに十分対応できなかった。このため国は災害対策基本法を改正して避難所での生活環境確保を定める一方、厚生労働省が2012年12月、都道府県単位での支援体制づくりを求めた。同省福祉基盤課は「まず都道府県単位で体制をつくり、将来は広域連携を目指す」と構想を説明する。

 岩手県は「災害派遣福祉チーム」を今月中に設立する。同県地域福祉課によると、4〜6人で班をつくり、県内9圏域ごとに複数班を配置する。社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員、保育士ら約200人が参加する見込みで、高齢者や障害者、乳幼児など幅広く対応できる要員構成にする。

 チームは、知事を本部長とする「災害福祉広域支援推進機構」が市町村の要請などを受けて被災地に派遣する。原則的に災害発生初期の5日間だが、状況に応じて継続派遣する構想だ。

 同県では、東日本大震災の際、福祉関係者も一般ボランティアと同じ活動をしたため専門知識を生かせなかった。この反省を踏まえ、12年度からチーム設立準備を始めてきた。県地域福祉課は「県を超えた広域支援体制をつくるためにも、災害救助法に基づく救助種類に『福祉』を加え、法的な裏付けがある制度にする必要がある」と指摘する。

 愛知県も今年度、検討に着手した。社会福祉士や介護福祉士、看護師などでチームを組んで被災地に派遣。要援護者の生活環境を確保できるよう、避難所運営の指導や、被災していない近隣県の施設への移送の実現などを視野に入れている。14年度は関係団体などと検討会を設け、具体的な体制を考える。予算として関係事業を含め210万円を計上。県地域福祉課は「人材養成も必要。速やかに体制を作りたい」と話す。

 三重県は2月、関係団体と検討会議を設置。今後の進行などを今年度中にまとめ、14年度から本格的な議論を始めるという。県健康福祉総務課は「どのような形にするかも含め、相互に助け合う体制を考える」とする。岐阜県は県社会福祉協議会との相談段階という.

毎日新聞 2014年03月23日 09時12分

重症児者 在宅に負担

2014年03月24日 02時33分45秒 | 障害者の自立
 重度の肢体不自由と知的障害を併せ持った重症心身障害者の通所事業を展開する「島田療育センターはちおうじ」(八王子市台町)が今春、開設から3年を迎える。入所施設が飽和状態にある中、在宅生活を送る患者の受け皿となり、日中の活動の場を提供している。ただ、重症心身障害児・同障害者(重症児者)が在宅で暮らすためには、いまだ多くの課題が残されている。

 ◆言葉は話せなくても…

 「おやつですよ」。通所事業を利用する20歳代の男性の腸につながる管に、女性スタッフが麦茶を注いでいた。布団の上に横になっている男性の手がわずかに動く。「おいしかったのかな。おなかいっぱいになりましたかー?」。男性が言葉を発することはないが、女性スタッフは次々と話しかける。

 利用者たちは歩くことができず、体の可動範囲もごくわずか。そのため、食事や移動、排せつなど日常生活のほぼすべてで介助を必要とする。トイレへの移動などには、体を包むための布がつり下がったリフトを用いている。

 布団に横たえる際は、スタッフが利用者の膝の下や背中の下にクッションを置く。利用者によって心地よいと感じる体のポジションが違うという。「言語でのコミュニケーションはとれなくても、注意深く観察していると、何に喜んで何を嫌がるのか、分かってくるのです」と同センター通所科の箱崎一隆科長は話す。

 同センターは、日本で初めて開設された重症児施設「島田療育センター」(多摩市)の分園として2011年4月にオープン。約230人が入所する大規模入所施設である本園に対し、分園では在宅で生活する患者の支援に重点を置いているのが特徴だ。

 通所科には、特別支援学校卒業後の10~40歳代の17人(男性14人、女性3人)が在籍。その多くが、鼻腔(びくう)栄養や胃、腸ろう、気管内の吸引など、医療的ケアを必要とする利用者だ。1日に10人前後が自宅から送迎バスなどで通い、午前10時頃から午後4時頃まで、看護師や介護士、保育士などのスタッフから介護を受けている。

 ◆全国に4万3000人

 社会福祉法人「全国重症心身障害児(者)を守る会」の岡田喜篤・常務理事によると、重症児者は、全国に推計で約4万3000人。全国に約200ある重症児者の入所施設はほぼ満床で、12年時点で、7割弱が在宅で生活しているとみられている。高齢化も進んでおり、今後、在宅の割合はさらに増えることが予想されるという。

 ◆介護者75%体調不良

 「島田療育センターはちおうじ」のある利用者の母親の1日は、午前5時半、栄養剤を作ることから始まる。腸への注入にかかる時間は1回約3時間半。1日に必要な4回分のうち、2回はセンターで行うが、残る2回は朝と夜に自宅で行い、最後の注入が終わるのは午前3時頃。「いつ体力の限界を迎えるか」と将来に不安を抱く。

 同センターの小沢浩所長らが、医療的ケアを必要とする重症児者の介護者を対象に調査を行ったところ、介護者の睡眠時間は平均5・2時間で、75%が介護者自身の体調不良を抱えていた。こうした介護者の休息のため、短期入所の必要性が高まっているが、現状では受け皿が十分でなく、利用したくてもできなかった経験を持つ介護者は、63%にも上った。

 この母親も、「緊急で預けられる場所がなく、冠婚葬祭にも出席できない」と話す。小沢所長は、「在宅の重症児者を支えるためには、医療だけでは限界があり、福祉との連携が必要。親の負担を軽減するため、介護保険のケアマネジャーのように、医療機関や行政などをつなぐ橋渡し役の育成も不可欠だ」と話す。

(2014年3月23日 読売新聞)