大規模な災害時に福祉専門の要員を被災地へ派遣し、高齢者や障害者など「災害時要援護者」の避難生活を支援する体制づくりが、全国で始まっている。避難所などで要援護者を十分に支えられなかった東日本大震災の反省に立つ取り組みで、災害発生初期に被災地へ入る災害派遣医療チーム「DMAT」の福祉版の発足が想定されている。厚生労働省によると東北6県など16都府県が既に体制づくりに着手しており、このうち岩手、熊本両県は支援チーム設立まで進行。南海トラフ巨大地震が予想される東海地方では愛知、三重両県が具体的な検討を進めている。
東日本大震災では、避難所に専門的知識を持つ要員をほとんど配置できず、障害者らに十分対応できなかった。このため国は災害対策基本法を改正して避難所での生活環境確保を定める一方、厚生労働省が2012年12月、都道府県単位での支援体制づくりを求めた。同省福祉基盤課は「まず都道府県単位で体制をつくり、将来は広域連携を目指す」と構想を説明する。
岩手県は「災害派遣福祉チーム」を今月中に設立する。同県地域福祉課によると、4〜6人で班をつくり、県内9圏域ごとに複数班を配置する。社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員、保育士ら約200人が参加する見込みで、高齢者や障害者、乳幼児など幅広く対応できる要員構成にする。
チームは、知事を本部長とする「災害福祉広域支援推進機構」が市町村の要請などを受けて被災地に派遣する。原則的に災害発生初期の5日間だが、状況に応じて継続派遣する構想だ。
同県では、東日本大震災の際、福祉関係者も一般ボランティアと同じ活動をしたため専門知識を生かせなかった。この反省を踏まえ、12年度からチーム設立準備を始めてきた。県地域福祉課は「県を超えた広域支援体制をつくるためにも、災害救助法に基づく救助種類に『福祉』を加え、法的な裏付けがある制度にする必要がある」と指摘する。
愛知県も今年度、検討に着手した。社会福祉士や介護福祉士、看護師などでチームを組んで被災地に派遣。要援護者の生活環境を確保できるよう、避難所運営の指導や、被災していない近隣県の施設への移送の実現などを視野に入れている。14年度は関係団体などと検討会を設け、具体的な体制を考える。予算として関係事業を含め210万円を計上。県地域福祉課は「人材養成も必要。速やかに体制を作りたい」と話す。
三重県は2月、関係団体と検討会議を設置。今後の進行などを今年度中にまとめ、14年度から本格的な議論を始めるという。県健康福祉総務課は「どのような形にするかも含め、相互に助け合う体制を考える」とする。岐阜県は県社会福祉協議会との相談段階という.
毎日新聞 2014年03月23日 09時12分
東日本大震災では、避難所に専門的知識を持つ要員をほとんど配置できず、障害者らに十分対応できなかった。このため国は災害対策基本法を改正して避難所での生活環境確保を定める一方、厚生労働省が2012年12月、都道府県単位での支援体制づくりを求めた。同省福祉基盤課は「まず都道府県単位で体制をつくり、将来は広域連携を目指す」と構想を説明する。
岩手県は「災害派遣福祉チーム」を今月中に設立する。同県地域福祉課によると、4〜6人で班をつくり、県内9圏域ごとに複数班を配置する。社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員、保育士ら約200人が参加する見込みで、高齢者や障害者、乳幼児など幅広く対応できる要員構成にする。
チームは、知事を本部長とする「災害福祉広域支援推進機構」が市町村の要請などを受けて被災地に派遣する。原則的に災害発生初期の5日間だが、状況に応じて継続派遣する構想だ。
同県では、東日本大震災の際、福祉関係者も一般ボランティアと同じ活動をしたため専門知識を生かせなかった。この反省を踏まえ、12年度からチーム設立準備を始めてきた。県地域福祉課は「県を超えた広域支援体制をつくるためにも、災害救助法に基づく救助種類に『福祉』を加え、法的な裏付けがある制度にする必要がある」と指摘する。
愛知県も今年度、検討に着手した。社会福祉士や介護福祉士、看護師などでチームを組んで被災地に派遣。要援護者の生活環境を確保できるよう、避難所運営の指導や、被災していない近隣県の施設への移送の実現などを視野に入れている。14年度は関係団体などと検討会を設け、具体的な体制を考える。予算として関係事業を含め210万円を計上。県地域福祉課は「人材養成も必要。速やかに体制を作りたい」と話す。
三重県は2月、関係団体と検討会議を設置。今後の進行などを今年度中にまとめ、14年度から本格的な議論を始めるという。県健康福祉総務課は「どのような形にするかも含め、相互に助け合う体制を考える」とする。岐阜県は県社会福祉協議会との相談段階という.
毎日新聞 2014年03月23日 09時12分