宮城県気仙沼市の市立面瀬(おもせ)中学校校庭に立つ仮設住宅で11日、東日本大震災5年の追悼集会が開かれ、同中学校が避難所だった時から、神戸の団体から支援に訪れていたボランティアら6人も参加した。今年は多くの入居者の転居が進む見通しで、自治会主催の同集会は最後となる。久しぶりに再会したボランティアと被災者らが、亡き人の冥福を共に祈った。
同仮設は、神戸市西区を拠点に各地で被災者支援に取り組んできたNPO法人「阪神高齢者・障害者支援ネットワーク」(解散)の理事長、故黒田裕子さんらが見守り活動を展開。黒田さんが急逝し、昨年3月に法人としての活動を終えた。今は100世帯弱が暮らすが、3月中に近くの高台移転場所の造成が終わり、災害公営住宅も11月に完成予定。
集会で尾形修也自治会長(71)は「トンネルの出口が見え隠れしている。新たな土地での生活は近隣愛に満ちた暮らしであることを願ってやまない」と話した。
同法人のボランティアだった看護師土江(どえ)孝子さん(50)=神戸市長田区=は、阪神・淡路大震災で実家が全焼し、友人も失った。全国からの支援の恩返しができればと、神戸と気仙沼を行き来した。
仮設を訪れるのは1年ぶりで、以前は毎朝一緒にラジオ体操をした女性(76)は「元気だった?」と土江さんの手を握った。2年前に仮設を出た後もつながりは続き、「暮らしは大変だったけど、皆さんがいたから助かった」。土江さんは「住民同士一緒に過ごした時間が絆になっている。それぞれ仮設を離れても、集う機会を持ってほしい」と願った.
仮設住宅での追悼集会に参加する土江孝子さん(右)。祈る被災者を優しく見守った=11日午後、宮城県気仙沼市岩月寺沢
2016/3/11 神戸新聞NEXT