経済産業省では、技術の進歩や、安全性向上等必要に応じて、JIS規格を制定・改正しています。今回は、146件の制定・改正がありました。
1.概要
日本工業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)とは、鉱工業品の品質の改善、性能・安全性の向上、生産効率の増進等のため、工業標準化法に基づき制定される我が国の国家規格です。
JIS規格は、製品の種類・寸法や品質・性能、安全性、それらを確認する試験方法や、要求される規格値などを定めており、生産者、使用者・消費者が安心して品質が良い製品を入手できるようにするために用いられています。
これらの規格は、日本工業標準調査会(JISC:Japanese Industrial Standards Committee)の審議を経て制定されます。このたび3月分のJIS規格の制定・改正を行いました。
2.今回のJIS規格制定・改正内容
今回は、52件の制定及び94件の改正を行いました(資料1)。中でも、以下のJIS規格の制定・改正は特に重要です。
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家庭用電気機器の待機時消費電力の測定方法に関するJISの制定(資料2)
家庭用電気機器(電子レンジ、ジャー炊飯器など)の省エネルギー性能に対する社会的要請の高まりを受け、国際規格に整合した待機時および低電力モードの消費電力の測定方法について、新たに日本工業規格(JISC62301:家庭用電気機器-待機時消費電力の測定方法)を制定しました。これにより、各社ごと、製品ごとに同一の測定方法での計測が可能となり、消費者が正しく製品選択するための指標を提供する事が可能となります。
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JISZ8210案内用図記号の改正及びJISZ9098災害避難誘導標識システムの制定(資料3)
災害による人的被害を低減するためには、緊急時に、地域住民のみならず、観光客等も安全な場所へ素早く避難できることが重要です。そこで、JISZ8210(案内用図記号)を改正し、災害種別を表す図記号等を新たに追加しました。また、災害種別ごとの避難場所の方角・距離など、迅速な避難を可能とする情報を、共通の標識として設置するため、標識に記載する情報に関するルールを定めた、災害避難誘導標識システムに関するJIAZ9098を制定しました。
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工場排水試験方法のJIS改正(資料4)
環境分析業務における環境負荷を低減するとともに、作業効率の向上を図る目的で、日本工業規格(JISK0102)に定める工場排水試験法の3つの項目(CODcr(二クロム酸カリウムによる酸素消費量)測定法、溶存酸素の測定法、全水銀の測定法)について、新しい分析技術を追加しました。
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路面標示用塗料のJIS改正(資料5)
日本工業規格(JISK5665)に定める路面標示用黄色塗料について、鉛・クロムフリーの塗料が一部の地方自治体で採用され始めたことから、受渡当事者間の合意によって鉛・クロムフリー黄色塗料の利用が可能となるよう、鉛含有量及びクロム含有量の試験方法、規格値及び表示について規定を追加しました。また、屋外暴露耐候性試験用の新たなアスファルトブロック板を追加しました。
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非接触ICカードのJIS改正(資料6)
我が国の公共交通カード及び電子マネーで広く使われている、高速処理を特徴とする日本発の非接触ICカードに関する日本工業規格[JIS X 6319-4(ICカード実装仕様-第4部:高速処理用近接型ICカード)]について、改正を行いました。今回の改正では、近距離無線通信規格であるNFC(Near Field Communication)に対応したスマートフォンに本JISで規定する非接触ICカード機能を共存させるための追加と修正を行いました。この改正により、我が国で普及している電子マネー機能の様々なスマートフォンへの搭載が期待されます。
ウェブコンテンツのJIS改正(資料7)
ウェブコンテンツの利用環境の多様化、障害者差別解消法の施行、国際規格への整合などによる社会的要請の高まりを受け、年齢、障害の有無、利用環境等に関係なく、全ての利用者がウェブで提供されている情報にアクセスし利用できるよう、日本工業規格(JISX8341-3)において、ウェブコンテンツを利用者が知覚、操作、そして理解しやすくするための品質基準のJIS規格の改正を行いました。
産業技術環境局基準認証広報室
産業技術環境局国際標準課
産業技術環境局国際電気標準課
平成28年3月22日(火)