川越市の知的障害者のための自立支援施設「川越いもの子作業所」の利用者と職員が十九日、川越市やまぶき会館ホールで「春一番コンサート おかん×IMO楽団」を開いた。施設利用者と職員でつくるIMO楽団の公演と、ロックバンド「おかん」によるアコースティックコンサートの二部構成。同作業所の利用者にとって、入場料を取るコンサートを主催するのは初めて。自分たちで運営準備や練習を重ね、迎えた本番は約五百席が満員の盛況となった。 (中里宏)
IMO楽団は毎年春に同作業所内でコンサートを開催。多くの障害者も犠牲になった東日本大震災から五年の今年は「障害のある人たちが安心して働き暮らせる街は、災害に強い街」というメッセージをこめ、地域社会とのつながりを深めるために公共施設で開いた。収益は被災した障害者施設の復興に寄付することにした。
IMO楽団が披露した十四曲は、大畠宗宏施設長が利用者と向き合う日常の中で作った。「自分の町で暮らしたい、働きたい」という気持ちや、子どもより先に老いていく親の思いを切り取りながらも、歌詞は前向きに「働いてるんだ! うれしいよ」「うつむかないよ! 僕たちは」と明るいロック調で歌い上げた。
「おかん」は、メンバーの思いや経験をメッセージ性の強い歌詞で伝える男性四人のグループ。この日の出演は、息子が同作業所に通う会社員男性(50)がライブを聞いて感動し「心に抱え込むことが多い親たちに、ぜひ聞いてほしい」と提案したのがきっかけだった。ボーカルのDAIさんが「欠点は、何かが欠けているんじゃない。成長するのに欠かせないもの」とのメッセージを込めた一曲目の「あなたは、あなたで大丈夫。」から、聴衆を引きつけた。