福祉の受け手から担い手へ
軽度の知的障害がある福井県内の20代女性2人が6月から、坂井市の高齢者施設で働いている。県が昨年度初めて行った障害のある人が対象の介護職員研修を受け、実習先で就労が実現した。2人は福祉の受け手から担い手に立場を変え、介護助手としてシーツの交換や食事の準備に奮闘している。
研修は社会福祉法人県セルプ(福井市)が県の委託で昨年11月~今年2月に行った。県内の就労継続支援事業所に通う知的障害のある人ら6人が約200時間の講習を受け、「居宅介護職員初任者研修」の修了証明書を手にした。
受講生の中から、社会福祉法人双和会(坂井市)の高齢者施設で実習した平橋知美さん(27)=あわら市=と、高倉綾乃さん(23)=坂井市=が6月から、それぞれの実習先で働きだした。週5回、午前8時半から午後0時半まで時給制で勤務している。
平橋さんはケアハウスのスプリングヒルズ(坂井市)でシーツの交換や食堂の掃除、食事の取り分けなどを担っている。介護福祉士でフロアリーダーの角田幸希さん(48)は「仕事が丁寧なので1人で任せられ、ほかの職員は入所者のケアに専念できる」と話す。平橋さんは「仕事は難しいし大変だけど、働き続けて新しい車を買いたい」と希望に胸を膨らませる。
高倉さんは特別養護老人ホームのプライムハイツ春江(同)で入所者の洗濯物を干したり畳んだり、食器洗いや後片付けといった仕事をこなしている。業務員の小林操子さん(63)は「いつも笑顔でまじめに働いていて、こちらが見習わなければならないくらい」と話す。
本年度の研修は8月1日から福井市のアオッサで始まる。県セルプの永田弘幸センター長(41)は「高齢者施設は人手不足で、介護福祉士が掃除や洗濯といった補助的な業務までこなしている状態だ。研修を通じて、介護の現場で働く意欲がある障害者を高齢者施設とマッチングし、自立につなげたい」と話している。
参加申し込みは8月30日午後5時までに県セルプ=電話0776(29)2234。
入所者の食事を準備する平橋知美さん
入所者の洗濯物を畳む高倉綾乃さん(左)
2018年7月30日 福井新聞