来月に養成研修
知的障害者の外出を支えるガイドヘルパーが不足し、県内の福祉事業所がヘルパーの利用者の希望に応じられないケースが出ている。利用希望は土日などに集中。グループホームのスタッフなど別の仕事を掛け持つヘルパーが少なくないという事情もある。(押川恵理子)
ガイドヘルパーは障害者と一緒に電車やバスに乗って出掛け、外出先でのコミュニケーションを助ける。トイレなどの介助もあるため、利用者と同性のヘルパーが対応するのが基本だ。利用は障害者が学校や作業所に通っていない土日と平日の夕方が多い。
ヘルパーによる移動支援事業を行うNPO法人サポートステーションWaku Waku(ワクワク)(金沢市長土塀)の勝田ゆかり理事長は「利用者に対してヘルパーが少なく、利用の日数を減らしてもらったり、時間を変えてもらったりせざるを得ない」と話す。
ヘルパー派遣のほか、居宅介護などを担う社会福祉法人金沢手をつなぐ親の会彦三のぞみ苑(金沢市彦三町)ではヘルパーの利用希望者が七十五人いるものの、六月の利用は男性十七人、女性七人にとどまる。「一カ月に三十人程度の利用に応じるので限界」と、サービス提供責任者の長林宏信さんはため息をつく。
金沢市障害福祉課にも「思うように利用できない」という声が寄せられている。ヘルパー数の統計はないが、身体と精神障害者を含めた移動支援事業は二〇一七年度時点で六十五事業所が手掛け、七百八十人が利用している。今後も利用は増加が見込まれる。
金沢、小松、白山、内灘の各市町の十六事業所は「県ガイドヘルプサービス連絡協議会」をつくり、ヘルパー不足の対策を練っている。会長の勝田さんは「外出は自立の一歩。地域になじみの人が増え、温かな人間関係が生まれる。移動支援は障害者が地域で暮らすために必要な制度」と訴えている。
知的障害者のガイドヘルパーの養成研修が九月二十八、二十九日に金沢市のいしかわ総合スポーツセンターで開かれる。十~十二月には約四時間の実習がある。定員六十人で、受講料三千円。詳細は主催する県のホームページで紹介。八月二十日必着でメールや郵送で申し込む。(問)同協議会に加盟するNPO法人地域支援センターポレポレMAP076(255)1573
金沢ふらっとバスを利用して買い物に出掛ける男性とガイドヘルパー(右)
2018年8月3日 中日新聞