<山形県障害者雇用水増し>
山形県が障害者雇用率を実際より高く算定していた問題で、県内の福祉関係者から21日、「あり得ない感覚だ」「法の趣旨を無視している」などと批判の声が上がった。
村山障害者就業・生活支援センター(山形市)の長谷川智所長は「民間企業であれば納付金を徴収されることもあるのに、民間の模範となるべき県がやっていたことにショックを受けた」と語り、故意の水増しを否定する県の説明について「40年以上も気付かなかったというのはあり得ない感覚」と疑問を示した。
「障害者雇用は道半ば。社会の理解を得ようと現場が努力しているさなかだけに、がくぜんとした」と憤るのは、知的障害者の親らでつくる「県手をつなぐ育成会」(山形市)の黒木仁事務局長。
「全容解明を急ぎ、法の趣旨に沿った取り組みに尽力してほしい。『あったかい県政』を掲げる県であればなおさらだ」と訴えた。
県人事課によると、障害者手帳を持たず、自己申告に基づき身体障害者に含めていた職員の中には、採用後に病気などで障害を負った人が多いという。
21日の県議会総務常任委員会でも、委員から「障害者の採用促進が法の趣旨と捉えていた。都合よく数字のつじつまを合わせたとしか思えない」「公立中高入試の採点ミス問題に続き、県政への信頼が揺らぐ事態だ」などと厳しい声が相次いだ。
県は今後、障害者として不適切に算入していた職員69人について実態を調査する方針。
2018年08月22日 河北新報