ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

「合理的配慮」とはどのようなものか

2018年08月10日 13時30分17秒 | 障害者の自立

会社や同僚にとってのメリットとは?

「合理的配慮」とはどのようなものか

働く人、個人個人の事情に合わせた「合理的配慮」とはどのようなものだろうか? 2016年4月施行の「障害者差別解消法」により、一人ひとりの困りごとに合わせた「合理的配慮」の提供が行政・事業者に義務化された。こうして、雇用者が働く人になすべき「合理的配慮」はまず、障害者雇用に際して行われることになった。

筆者はリハビリテーション科専門医として、多くの障害のある人の社会復帰に携わってきた。私の専門領域は、脳の病気やケガによって頭の働きが悪くなってしまう障害(高次脳機能障害)である。

健常だった人が、ある日突然、交通事故などによって脳に損傷を負い、記憶力や注意力、感情をコントロールする能力などの頭の働きが悪くなる。これらが永続する後遺症となれば、それが高次脳機能障害だ。

高次脳機能障害は、労務能力などの、社会生活能力が低下することにつながる。彼らが社会復帰するうえで、「合理的配慮」は欠かせない。社会的リハビリテーションには、後遺障害をもつ人が働くために必要な「合理的配慮」を見極め、彼らが属する社会にこの「合理的配慮」を導入するという、重要な役割がある。

一般にリハビリというと、骨折に対して行われるような“運動療法”をイメージする人が多いと思う。しかし、リハビリにはもっと広い意味がある。リハビリテーションの語源はラテン語で、re(再び)+ habilis(適した)であり、「再び適した状態になること」や「本来あるべき状態への回復」などの意味を持つ。それには当然、後遺障害を持つ人に必要な合理的配慮の見極めと導入も含まれる。

リハビリテーション医には、後遺障害のある人と企業・事業者の間を取り持つネゴシエーターのような役割があるのだ。筆者はこの交渉を、「合理的配慮」の提供が義務化されるずっと前からやってきた。

法的に義務化される以前は、雇用者サイドに「合理的配慮」の必要性について説明すると、必ずといってよいほど、「企業・事業者にとってどのように合理的なのか?」と尋ねられた。そして、この質問の意図の多くは、「企業・事業者にどのようなメリットがあるのか?」という旨だった。その考えは納得できる。“合理的”というと、患者にとっても、企業にとっても「win-winな関係」を作るための配慮に聞こえる。

たとえば、注意力が障害された人は、まとまった時間に連続して作業するより、細切れの時間で休み休み作業をしたほうが、結果的に同じ時間でたくさんの作業ができる。午前中の3時間を連続して作業した場合よりも、45分働いて15分休む事を3回繰り返したほうが作業量を多く保てるなら、休み休み作業させたほうが障害のある人にとっても企業にとっても得である。

このように、障害のある人にとっても雇用者にとっても負担がなく、よい結果をもたらすwin-winな関係につながるワークスタイルを導入するように、私は指導してきた。ここで例を挙げたような「互恵的配慮」が合理的であることには、誰も異存がないだろう。

「互恵的配慮」は人間が生まれもったもの

近年、互恵(reciprocity)は、人間が生まれもった基本的道徳感の1つと考えられるようになってきた。互恵は聞きなれないかもしれないが、ギブ&テイクの一種と言うとわかりやすいだろう。生物学では、あとで見返りがあると期待されるために、ある個体がほかの個体の利益になる行為を即座の見返りなしで取る行動を「互恵的利他行動」と言ったりする。

自然界における互恵的利他行動の例でわかりやすいのは、チスイコウモリの血液のやりとりである。チスイコウモリは洞穴などで集団行動をする生物で、夜にほかの生物の血を吸いにいっせいに飛んで行く様をテレビなどで見たことがある人も多いだろう。

実は彼らは満腹の状態からでも、3日も血を吸えなければ餓死してしまう。しかし群れの中の何割かは、巣に戻るまでにまったく血を吸うことができない。このまま血を吸えなければ明後日にも餓死してしまうわけだが、実際はそうはならない。血をまったく吸えなかったコウモリは、血を十分に吸ったコウモリに血を分けてもらえるからだ。

血を与えたコウモリが失う残り時間よりも血をもらったコウモリが得る残り時間のほうが長いため、血を分け合ったほうがお互いの生存に有利である。そしてチスイコウモリは、仲間の誰が自分に血を分けてくれたか、また、自分が誰に血を分けたかをちゃんと覚えていて、お返しをしない個体は次から血を分けてもらえなくなるという「しっぺ返し」を受ける。

餓死するまでの猶予が数日しかない彼らが生き残ってこられたのは、このお互いに血を分け合う「互恵的配慮」のおかげであると言えるだろう。互恵的配慮は群れで行動する生物全般に見られ、自然の掟の1つであると言っても過言ではなさそうである。

朝日新聞     


マンションで障害者のグループホームだめ? 大阪で裁判

2018年08月10日 13時18分24秒 | 障害者の自立

 住宅以外の使用を禁じる管理規約があるマンションの部屋を、障害者のグループホーム(GH)に使うことはできるのか。この点が争われる裁判が大阪地裁で始まり、8日に第1回口頭弁論があった。「GHは事業」と使用禁止を求める管理組合に対し、GHを運営する社会福祉法人は「GHは共同生活を営む住居」と主張している。

 訴状や社会福祉法人によると、マンションは大阪市内にある15階建ての分譲タイプ(住戸約250室)。法人は2室(3LDK)を借り、2009年以降、知的障害のある40~60代の女性6人が支援を受けながら暮らしてきた。6人は住民票も置いているという。

 管理組合は16年6月、「管理規約に反する」として、部屋をGHとして使わないよう法人に要請。同11月にはGHへの使用禁止が管理規約に盛り込まれた。その後の民事調停も不調に終わり、組合は今年6月、法人に使用禁止と違約金約85万円を求めて提訴した。

 法人は「障害者と地域の共生を妨げる」とし、障害者差別解消法に反するとも主張。一方、組合の代理人弁護士は「障害者の排除が目的ではない。営利・非営利問わず、法人が入居者を募って事業を行うことが問題」としている。

都市部のグループホーム、共同住宅に多く

 GHは障害者総合支援法に基づき、障害者が食事や入浴など日常生活の支援を受け、共同生活を送っている。このGHもスタッフが寝泊まりし、入居者は日中は作業所で働き、夕方に帰宅する。休日は地域の美容院に行き、誕生日にみんなでカラオケに行くこともある。

 厚生労働省の事業に基づく日本グループホーム学会の調査(2012年度)では、全国のGHの約3割がマンションなどの共同住宅にあった。14年の大阪府・市の調査では、府内のGH1245戸のうち839戸(67・4%)が共同住宅内だった。都市部では共同住宅内のGHは多く、各地で同様のトラブルがあると指摘する専門家もいる。

 立命館大学生存学研究センターの長瀬修教授(障害学)は、国の障害者施策が「施設から地域へ」を目指している点を踏まえ、「共同住宅の住人とGHが建設的に対話できる環境づくりを、行政は進めるべきだ」と話す。

 <アピタル:ニュース・フォーカス・その他>


航空機搭乗時の障害者移動支援措置を義務化へ

2018年08月10日 12時38分46秒 | 障害者の自立

航空局、事業許可や計画変更にバリアフリー対策

 航空局は、旅客ターミナル施設と航空機の乗降口との間の経路において、障害者や高齢者などがスムーズに移動することができるよう、設備や器具、車両などといった移動支援措置を設けることを義務付ける。具体的には日本国内のキャリアおよび外国航空会社において、速やかにバリアフリー対策が講じられるように、航空法施行規則の一部を改正することにした。その施行は10月1日を予定している。
 2020年に東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、様々なところでバリアフリーが推進されている。そうしたなか大手エアラインや主要空港を中心に、様々なバリアフリー対策が進められている。これにより、従前に比べてかなりスムーズな搭乗や保安検査などが実現してきた。
 ただ、それでも2017年6月には、奄美空港で車いす利用者が航空機に搭乗する際、タラップに上がる際の補助器具などが用意されておらず、タラップを自力で上がらなければならなかった事案が発生するなど、日本国内の航空分野におけるバリアフリー対策は、まだまだ十分とはいえないことが現実だ。

2018.08.08        WING


職員向け手話講座 聴覚障害者の不安解消

2018年08月10日 12時01分28秒 | 障害者の自立

能美市消防本部

 事故や災害、急病といった緊急時、聴覚障害を持つ人は救急隊員とのやり取りがうまくいかないことがある。当事者の不安を解消しようと、石川県能美市は今月、市消防本部の職員向けに手話講座を初めて実施した。今後、他の部署などに対象を広げて開講し、聴覚障害者への理解を深める方針。

 能美市は今年4月、手話言語条例を制定。手話への理解を広げ、聴覚障害のある人が安心して暮らせる街を目指す。今回の手話講座は市内の当事者の要望を受けて実施した。手話通訳の資格を持つ市福祉課の原仁美主事がコーディネーターを務めた。

 障害者総合支援法は市町村に、聴覚障害の当事者の要望に応じて手話通訳者を派遣することを義務づけている。能美市では救急車への同乗を求められるケースが年に数件あるといい、原さんは「病院で筆談での問診に1時間かかったケースもあると聞く。手話を使えなくても、答えやすい質問をするなど工夫すれば、双方の負担や不安は少なくなる」と話す。

 聴覚障害には個人差があり、コミュニケーションの手段も人によって得意なものが異なる。生まれつき聴覚障害を持つ高齢者は手話で意思疎通を図ってきた経験が長く、読み書きが苦手なことが多い。一方、中途失聴者や若い世代は筆談やメールが得意で、手話が苦手だったり理解できなかったりする場合がある。原さんは「体調不良や動揺している時、手話や筆談、読唇など慣れない手段でやり取りするのはお互いに難しい。相手に合わせて方法を探る必要があると知っていれば、混乱は避けられるはず」と指摘する。

 今月2日の手話講座には能美市消防本部の職員約30人が参加。市内在住の聴覚障害の当事者が講師を務め、簡単な手話を伝授したほか、不調の種類や痛みのある部位などをイラストで示した「コミュニケーションボード」の導入を呼びかけた。受講した男性職員(58)は「以前、当事者が頭が痛くて目も開けられないというケースがあり、家族に仲立ちを頼んだ。今回学んだ手話などを生かして緊急時のコミュニケーションを円滑にしたい」と話した。

119番、メールやファクスでも

 毎日新聞は県内の11消防局・消防本部に聴覚障害者のためのサービスや工夫について尋ねた。通話に困難を抱えている人向けの「NET119緊急通報システム」を導入しているのは、金沢市消防局▽奥能登広域圏事務組合消防本部▽七尾鹿島広域圏事務組合消防本部--の3消防局・消防本部。同システムは事前登録が必要で、携帯電話などでインターネットに接続し、文字のやり取りなどで通報する。かほく市、津幡町、内灘町の3消防本部管内の119番通報は金沢市消防局が対応している。また、その他の消防本部は電話だけでなく、メールやファクスを用いた通報システムも採っている。

 一方、白山野々市広域消防本部は今年7月、管内の当事者団体からコミュニケーションボードの寄贈を受け、救急車全8台に配備。ボードの使い方や手話について11月に講習を実施する予定といい、担当者は「すぐに効果が出ることから始めたい」としている。

毎日新聞         2018年8月9日


難病に負けずCGアート

2018年08月10日 11時46分33秒 | 障害者の自立

元船橋障害者自立生活センター事務局長・田沼敏夫さん追想展

 難病と闘いながらNPO法人船橋障害者自立生活センター(船橋市南本町)で事務局長として働いた故田沼敏夫さんをしのぶ絵画展が九~十一日、同市内で開かれる。手足が不自由になっても、口で棒をくわえてパソコンのキーボードを打ちながら仕事を続けた田沼さん。自己表現のコンピューターグラフィックス(CG)では、多くの絵画作品を手掛けた。その遺作を紹介しようと、「CGアート追想展」として開催される。 (保母哲)

 田沼さんは都内出身で、幼いころから身体に不具合を感じていたものの、普通の学校生活を送っていた。しかし次第に病状が進み、青山学院大学在学時に筋肉などが少しずつ衰える難病の神経疾患「シャルコー・マリー・トゥース病」と診断された。

 東京都国立市で暮らしていた四十三歳のときからパソコンを利用し、絵画ソフトでCG作品を描くようになった。その四年後に船橋に引っ越し、同センターで働いてきた。

 職場ではパソコン技術を生かし、センターのホームページ作成や機関紙の編集、会計や名簿の管理などを担っていた。松葉づえでの歩行が困難になったため、電動車いすを利用。そのうちに指も不自由になり、文字入力の際には棒を口にくわえ、パソコン画面に表示されたキーボードを打っていた。自宅ではヘルパーの訪問を受けた。

 CG作品の個展を一九九七年に国立市で、九八年には船橋市で開き、東京都障害者総合美術展にも出品していた。ところが昨年十一月、自宅で体調が悪化して倒れ、今年一月に亡くなった。六十六歳だった。

 そんな田沼さんと作品を知ってもらおうと、今回は同センターが「CGアート追想展」として企画した。

 田沼さんと二十年以上、親交があったNPO代表理事の杉井和男さんは「非常に繊細な人で、仕事ぶりも有能だった」と話す。日ごろから人の心理や社会の矛盾などを考えていたためか、その作品は人の内面を描いたものが多かったという。

 追想展は船橋市本町の船橋スクエア21ビル三階・市民ギャラリーで開かれ、人物画など約三十点が披露される。開場時間は九日午後一~五時、十日午前十時~午後五時、十一日午前十時~午後三時。入場無料。問い合わせは、船橋障害者自立生活センター=電047(432)4554=へ。

在りし日の田沼敏夫さん

2018年8月9日       東京新聞