ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

ハリウッドで障害者のストーリーが語られるのは嬉しい、でも俳優は健常者ばかりでうんざり。

2019年01月18日 19時04分11秒 | 障害者の自立

アメリカのTVドラマで障害のある役柄の95%は障害のない俳優によって演じられているという事実

私は映画『The Upside』を見ていないし、今後見ることもないとないでしょう。1月11日に全米公開されたその映画は、『ブレイキング・バッド』のブライアン・クランストンが、元犯罪者を介護人として雇う四肢麻痺の億万長者、フィリップ役として主演しています。

今の所、映画の評価は月並みーでもそれが私が映画を見ない理由ではありません。私が障害を持つ女性として、健常者であるクランストンが障害者の役を演じている事に納得がいかないからです。

そう感じているのは私だけではありません。クランストンとこの映画は、Twitterで障害者コミュニティから大きな批判を受けています。それでも、クランストンは車椅子利用者のフィリップ役を演じる事を擁護しました。

「俳優として、僕らは他の人になりきる事、演じる事を求められています」と彼は英国記者協会(British Press Association)に話しました。クランストンによると、様々な役は多様なバックグラウンドを持つ俳優によって演じられるのが理想とのこと。

しかし、これは見せ掛けを演じている、という問題だけではありません。障害は人種、性別、性的指向と同じくアイデンティティなのです。ハリウッドの白人化が間違っているのと同様に、障害者の物語から当事者を消し去ることは許されないのです。

"映画やTVドラマの中で、よく重要な役をたまたま障害を持っている俳優が演じる事は未だにとても稀です。"

もちろん、沢山の障害者の物語が映画で語られてきているのは嬉しい事です。映画『ブレス しあわせの呼吸』(2017年)で、私が使っている人工呼吸器の開発を手助けした、ポリオ感染者でありイギリスの障害者支持者、ロビン・カヴェンディッシュについて描かれていると知った時に私は歓喜し、存在を認められた気がしました。

しかし、その役をアンドリュー・ガーフィールドーまたもや障害を持たない俳優ーが演じると知って、心が沈みました。

映画『ワンダー 君は太陽』(2017)が特殊メイクで主演俳優を遺伝的な頭蓋顔面変形の10歳の男の子に仕立てて2018年アカデミー賞ののベスト・メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされた時も同じように感じました。そしてその前は、『博士と彼女のセオリー』(2014年)でエディ・レッドメインがALSを発症した理論物理学者のスティーヴン・ホーキンス博士を演じてオスカーの主演男優賞を受賞。

そしてその前は、、、もう意図はお分かりでしょう。

クランストンは英国記者協会とのインタビューで、「障害のある俳優への機会不足」が生じているのを認めたが、それは障害のある俳優の中で役をもらう為に必要な「スターの地位」を確立している役者が少ないからだ、と反論しました。

では、そもそもどのやって「スターの地位」を確立すれば良いのでしょうか?ここで根本的な問題は、業界での障害のある俳優不足ではありません。それは、ハリウッドがまだ彼らをー当事者としての経験を演じるだけの才能と専門知識があるにも関わらずー、開拓可能な市場として認識していないからです。

有色人種やLGBTQの俳優は徐々にハリウッドで存在感を示してきています。それでも映画やTVの中で、よく展開された役柄をたまたま障害を持っている俳優が演じる事は未だにとても稀です。実際、障害を持つ人々がアメリカの人口の20%を占めていますが、TVドラマで障害のある役柄の95%は障害のない俳優によって演じられています。

クランストンは人気TVシリーズ『ブレイキング・バッド』のウォルター役でよく知られています。興味深い事に、この番組は私のお気に入り番組の一つであり、障害を持つキャラクターを実際に障害を持つ俳優が演じている数少ない番組でもあります。5シーズンの後2013年に好評のうち終了したこのこの犯罪ドラマでは、クランストンは高校の化学教師から麻薬の売人になった、脳性麻痺を持つ10代の息子を持つ父親役。(息子の障害はストーリーの中では小さな部分ですが)実際に脳性麻痺の障害を持つ俳優RJ・ミッテはクランストンの息子役で有名になりました。彼は妹の演技マネージャーに芝居を勧められ、「発掘」されました。

ハリウッドには、ミッテのように役をもらえるのを待っている俳優が無数にいます。昨年、全米キャスティング協会(Casting Society of America)によって初めて開催された「障害者の為のオープン・キャスティング・コール」には、1日だけで約900人の障害を持つ俳優がオーディションに参加しました。私は様々な役ー主役、助演、エキストラー全てでもっと障害のある俳優を見たいです。アクションスリラー、子供のアニメ、クリスマス映画でも見たい。そして業界人がもっと障害者に対して演技の道に進む事を勧めたら、、、どれだけの障害を持つ俳優をスクリーンで観る事ができるか想像してください。

障害を持つ人々は絶えず機会、スペース、プラットフォームの為に闘う事にうんざりしています。障害者の持つ才能がハリウッドで認められるまで、クランストンのような俳優は舞台を降り、マイクをその役を描写したくてたまらない当事者にあけ渡すべきです。ハフポストUS版の記事を翻訳しました。

2019年01月16日     ハフィントンポスト


障害者の就労支援は優しさの中に厳しさも…

2019年01月18日 18時55分25秒 | 障害者の自立

 今回は、NPO東京自立支援センター(本部 国立市)の理事長の高森知さんを取材した。髙森さんは東京、神奈川、埼玉、山梨などを拠点におしぼりのレンタル業をするFSX株式会社(旧 藤波タオルサービス㈱)で、障害者の採用・定着・育成などに20年以上関わってきた。2010年にNPO東京自立支援センター(本部 国立市)を設立し、その後、FSX株式会社を退職し、障害者雇用により専念することにした。

(AndreyPopov/Gettyimages)

 同センターは現在、職員総数が49人。社会福祉士や精神保健福祉士、保育士、ジョブコーチなどの資格を持つ職員が在籍している。就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労移行支援を連携させながら運営をしている、障害者のための就労支援事業所だ。特に就労継続支援A型に力を入れている。A型は、障害者総合支援法に定められた就労支援事業の一つで、一般企業への就職が難しい障害者に就労機会を提供し、仕事に関する知識や仕事の能力の向上に必要な訓練を受けることができる事業所だ。

 支援の対象は、特別支援学校や盲・聾学校などを卒業したが、就労経験のない障害者や、就労したものの、何らかの事情で辞めてしまった障害者。主に仕事に必要な知識・技術・社会性などを身につけ、個々の能力を伸ばし、成功体験を積み重ねることで、数年後に一般就労へ結びつけ、自立(自律)を支援し、雇用のミスマッチを防ぐことも目的としている。

 障害者は、同センターと契約をした会社や工場で主に次のような仕事などをする。おしぼり・フェイスタオル・バスタオル包装作業、箱詰め作業、洗濯補助作業、おしぼりの荷積み・荷降ろし作業、ドアマット・モップ等の棚入れ・棚出し及び整理整頓作業、商品の入荷受け入れ・ピッキング・梱包・出荷作業、チラシ等の丁合作業、商品検査作業など。

 同センターでは、2019年1月現在、50人の障害者がA型の利用者として、契約している会社や工場で働いている。50人のうち、42人が知的、3人が精神、5人が身体。いずれも労働契約は雇用契約型の最低賃金以上の契約となり、1か月の賃金は週5日、1日6時間勤務で11万~15万円。

「自分が何かを達成した」という満足感を得てもらいたい

 私は、障害者の方の素直さや正直さ、時には嘘をつくけど、すぐにばれてしまう、それを素直に認める。失礼な表現になっているかもしれませんが、落語に出てくる与太郎を見ているようで、何とも愛嬌あり、そんなかわいらしさが好きなのです。

 知的障害者の中には、突然、昔のことを思い出したりして大きな声で叫ぶ方がいます。健常者でも嫌なことを忘れることは難しいですよね。彼らの場合、過去にいじめられた記憶や怒られた出来事を忘れることが出来ずに、繰り返し思い出してしまうのです。障害者の多数が失敗体験の積み重ねで育ってきています。嫌な出来事は簡単には消すことはできませんが、たくさんの成功体験を積み重ねてもらうことで少しでも違ってくるのかなと思っているのです。

 9年前(2010年)にセンターを立ち上げました。当初は、主に多摩地区の特別支援学校を訪問し、一般就労できるか否か、微妙なところにいる生徒さんを就労継続支援 A型という雇用形態で採用しました。正式に採用する前に、2~3回の実習をしてもらったのです。単純作業で、立ち仕事が多いのですが、ほとんどの生徒さんがわき目をふらずに取り組みます。知的障害者の方は同じことの繰り返し、つまり、反復作業はよくできます。

 採用試験では、職業指導員がそのような様子を観察し、評価し、採否を決めさせていただきます。生徒さんにも、ここで働くことができるか否かを判断してもらいます。双方の考えが合致し、採用となると、平均で2年ほど就労し、それがいわば基礎訓練となります。その後、数年以内に一般就労としてほかの企業などに正社員や契約社員として勤務することを目標にしています。

 障害者の中には指導員の言い方を「キツイ」と受け止め、めげてしまう方もおります。すると、工場の機械が止まってしまうんですよ。それで、工場から私たちがお叱りを受けることがありました。その障害者の方にも言い分があるのでしょうから、私たちは丁寧に聞きます。

 ご本人に言わざるを得ないこともあるのです。「あなたはここで働くことを望んだのでしょう。将来は、一般企業で働きたいのでしょう?あなたが機械を止めた間にも、工場はあなたの賃金を払うんですよ」。誤解なきように言えば、叱るような口調ではなく、諭すような物言いです。指導員はパワハラなどの研修や講習を繰り返し受けていますから、心得ています。センターとして虐待防止研修と権利擁護の研修も徹底して行います。

 障害者の多くは、指導員の話をある程度は理解します。おそらく、自分のことを認めてほしいという思いを持っているのでしょうね。自分が思っているようなアンサーを返してほしいのでしょうけれど、そうとばかりにはなりません。そのようなときは、落ち込むことがあるようですが、これを乗り越えないと、一般就労はできないのです。

障害者は十人十色、百人百様。指導や対応は一概に決まったものがない

 私どものセンターに籍を置き、企業や工場で就労するのは、労働意欲があり、働くことができうると思える方たちです。ここにいる知的障害者は、IQ 35ぐらいから70前後。理解力は幼稚園児から小学校高学年程度のレベルになります。このような状況を踏まえ、障害者が「使えない」とするならばおそらく、指導する側に問題があるのではないか、と思います。彼らは単純作業をすることは立派にできます、人によっては、訓練次第で複雑な作業にも対応可能です。

 彼らは、単純作業は、100%できるようになるのです。我々では続かないようなおしぼりの検品作業を連続してできます。つまりは、教える側の力量でしょう。指導員の力量で、障害者の力は変わっていきます。

 指導員の経験の浅い人は、就労する障害者の姿を見ると感動するんです。次に、障害者の様子を観察するようになります。そして、いろんな本を読むのです。その知識をもとに「こうしなければいけない」と、障害者に教えようとします。ここで、問題が起きるのです。障害者は十人十色、百人十色。指導や対応は一概に決まったものがありません。障害者の方の実情や実態を心得ることなく、1つの型にはまるような指導をすると、困ったことになりえます。障害者の方からすると、一度、刷り込まれた作業や間違った指導はすぐには抜けないのです。彼らは間違った学習を覚えてしまうと、それを意識から消すことがなかなかできないことがありうるのです。

 しかも、このような指導員は、障害者が理解できないようなことまで盛んに繰り返す傾向があるのです。障害者は視覚優位で、まずは言葉より見て覚える傾向があります。それにも関わらず、指導員が「なぜ、できないの?」と責めてしまうことがあります。このような接し方を繰り返す場合は、有資格者であろうとも、このセンターでは職業指導員の役割から外れてもらいます。

 まずは、経験が浅い指導員はこのセンターの先輩の後について、個々の障害者への指導を学んでほしい。経験の豊富な指導員は、障害者との信頼関係を作るところから始めていることがわかるはずです。指導員の力量=利用者の伸び幅になるのは、間違いありません。同じ障害者でも、指導員を変えると、大きく変わることがあります。そのような差がつかないように、センターとしてミーティングを密にして、指導員のレベルアップ研修などをしています。

 センター設立当初は、福祉で仕事をしてきた人を採用しなかったのです。私たちが力を入れる就労継続支援 A型では、企業で働いてきた経験者を優先して採用を行いました。ここは、障害者が一般就労できるようなところにまで、力を上げていくことが目標です。その際、企業で培った経験を活かす指導力が必要になります。

 就労継続支援A型では、指導を中心に支援を行います。割合は「指導7」に対し、「支援3」と考えています。優しく温かく見守るだけでは、A型での就労支援は難しいと思います。彼らができないことをできるにしてあげることが大事です。

 一方、福祉を経験してきた方は、やさしく暖かく見守りつつ障害者ができることを一緒に手をとりながら行う「支援」が中心になると考えています、支援力はたしかにすばらしいものがあります。しかし、これは指導とは違うと私は考えています。

 指導をして訓練を繰り返すことで、必ず、伸びます。だから、私たちはあきらめない。今、できなかったとしても、違う手だてがきっとあるのです。指導員と障害者が、信頼関係をつくると、力はすごく伸びます。だからこそ、このセンターの指導員は「使えない」とは言いません。「ダメだな」と思うのは、障害者に対して失礼です。

 実は、私自身が発達において偏りがあるのではないか思うことがあるのです。私も嫌な思い出を何かのきっかけでリアルに思い起こすことが多いのです。だから、彼らに親近感があります。前職(FSX株式会社)で多くの経験をさせていただきました。センター設立後も、前職や多くの指導員、支援者、企業、自治体関係者などに支えられてきました。障害者やそのご家族、支援者にも感謝しています。ありがたいことですね。これからも、何らかのお力に立ちたいと思っています。

2019/01/17    吉田典史 (ジャーナリスト・記者・ライター)


週刊朝日を“全文音訳”して視覚障害者へ提供 ボランティア奮闘40余年

2019年01月18日 18時42分14秒 | 障害者の自立

 目の不自由な人のため、週刊朝日を毎週欠かさず「音訳」する団体がある。社会福祉法人千葉県視覚障害者福祉協会が運営する「視覚障害者総合支援センターちば」(同県四街道市)。記事やコラムを読み上げて音声をCD化し、視覚障害者に提供している。昨秋、作文コンテスト「私と週刊朝日」を実施し、1月5日に表彰式があった。

 1971年、本誌の一部の記事をオープンリールのテープに録音したのが始まり。以後、カセットテープの時期を経て、2008年からは広告など一部を除きほぼ全文をCD1枚に収録。県内の障害者約200人に音訳CDを郵送するほか、専用のネットワークを介して全国の利用者約800人に音声データを提供している。

 製作の実務を担うのは、千葉点字図書館音訳会のボランティア約90人。毎週、10人程度が録音当番となり、1冊を分担する。本誌が火曜日に発売されると、各自が自宅などで担当ページの録音に取り組む。グラビアや漫画では、表情や背景などを口頭で説明。それぞれの録音データが同センターに集約され、翌週の月曜に完成する。1号分の音声は約10時間に及ぶ。

 作文コンテストは全文CD化10周年の記念事業。全国の利用者から応募があった。5日の表彰式では、同福祉協会の伊藤和男会長があいさつし、優秀賞の関次子さん(69)=千葉県佐倉市在住=に表彰状を手渡した。

 関さんは緑内障の手術がうまくいかず、左目を失明。右目も明暗がわかる程度だ。作文に「嘆いていても始まらない。諦めなければならないものは諦め、笑顔で生き直す」などと書いた。受賞後、「あと1枚原稿用紙があれば、週刊朝日のライターさんや音訳のみなさんへのお礼を書きたかった」と話した。

 週刊朝日編集長賞を受賞した五木田信義さん(75)=同県東金市=は網膜色素変性で視力を失い、56歳のときに勤め先の金融機関を退職。今は鍼灸マッサージ治療院を営んでいる。「週刊朝日の音声が社会の動きを知るかけがえのない情報媒体。記事の内容を話題にしながら施術しています」と笑顔で語った。

 関、五木田両氏の作文全文を紹介する――。

 「私と週刊朝日」優秀賞/関 次子

 毎週木曜日、午後1時30分前後。遠くからバイクの排気音が聞こえる。やがて、我が家の門扉の前にピタリと停まる。(ガタゴソ、カタン。)
「お待たせ。」と、言っているかどうか分からないが、「週刊朝日」が届く。

 私は、「待っていたわよ。」と言いながら郵便受けに向かう。そして喜び勇んで聴き始める。

 音声デイジー版になって10年。カセットテープの頃から聴いています。毎週、ほぼ全文10時間超とのことですが、およそ8時間は聴いていると思います。

 我が家から新聞が消えて数十年、私の目の前からテレビが消えて5年程。したがって、情報といえば「週刊朝日」と「ラジオ」、「音訳書」となりました。

 コラムについて、田原総一朗さんをはじめとし、数名の方の記事を参考に、社会のこと政治、経済、人工知能、IT、口を開けばネット、ネット。おかげで、世界が随分身近になったような気がします。しかし、目覚ましい進化ですが、いったいどこまで行ってしまうのか、苦笑いしながら足踏みをしている私がいます。

 室井佑月さん。「そんなにはっきり言って大丈夫なの?」と、見えない目で周りをキョロキョロ。そう言いながらも「そうよ、良く言った。」と同時にパチパチと手を叩いてしまいます。

 内館牧子さんは、同県人のよしみで、より真剣に耳を傾けてしまいます。それにしても、今夏甲子園では吉田輝星君をはじめ、金農ナインは良く頑張ってくれました。例年にない猛暑の中、より熱く、思い出に残る平成最後の夏となりました。

 犬ばか猫ばかペットばか。我が家は、今は事情があってペットは飼えないのですが、幼い頃、気がつけば犬と暮らす生活でしたので、このコーナーにて随分と癒やされています。

 近頃、「人生百年時代」とのことで、高齢者に関する記事が多く掲載されています。高齢者施設、おひとり様生活、老後資金、墓地等々。人頼みではなく、自分でやらなければならないことは何か、と早速アルバム処分、バリアフリー、墓地購入。気力・体力・視力があるうちにと、ぼちぼち終活をしています。

 さっきラジオから「雲ひとつない青空で、洗濯日和」とのこと。はて、最後に見た青空はいつだったかしら。それよりも、鏡の前の私を見たのはいつ、いつ、いつだったのかしら。正直言って無念です。神様に「あなたは、目が不自由でも生きていけるわよ。」と、選ばれてしまったのですから。フランス料理のフルコースなら喜んでいただけたものをよりによって、視覚のフルコース(晴眼者・弱視・全盲)だったなんて。

 しかし、嘆いていても始まらない。楽しみは少なくなってしまったけれど、苦しみもまた少なくなる。それは、諦めなければならないものは諦め、笑顔で行き直すということ。

 音訳書を聴いていると、見えない事はすっかり忘れて、音訳された文章からの想像と映像の世界で頭がいっぱいになるのですから。

 視覚障害者に情報をと、沢山の音訳者の方、そして朝日新聞出版様には、ご理解とご支援をいただきまして、心から感謝でいっぱいです。

 「私と週刊朝日」週刊朝日編集長賞/五木田信義

 私はこの9月で75才となり、世に言う後期高齢者の一人となった。若い時に網膜の病を得て徐々に視力を失い、現在は光を感じる程度の視力となり、家内に助けられて日々暮らしている。音声デイジー版「週刊朝日」は特別な週でない限り、毎週木曜日に私の手元に届いている。木曜日の私の暮らしの一コマを紹介しよう。

 昼頃になると、わが家の前の通りをバイクのエンジン音が近づいてくる。郵便配達員の乗ったバイクだ。そのエンジン音がわが家の前で止まるか注意深く聞いている。

 実際止まると、「あー郵便物が届いた。デイジー版『週刊朝日』も届いたに違いない」。

 バイク音が遠のくのを待って、いそいそと門柱に取り付けてある郵便受けへ取りにいく。

 いくつかの郵便物の中に、デイジー版「週刊朝日」があるのを確認する。そそくさと居間に戻り、早速CDを取り出しプレクストークにセットし聞き始める。

 私の聞き方はまず、自分の興味のあるテーマから聞くことにしている。最近は、田原総一朗のギロン堂、連載小説3編、嵐山光三郎のエッセイ、最後の編集長後記だ。これらを聞き終えてから、また最初に戻し、ゆっくり数日かけて聞くようにしている。

 私は地元の小さな金融機関で働いていた。視覚障害者の身となった後も、ルーペを使って事務仕事をさせてもらっていたが、視力の衰えは如何ともしがたく、56歳で長年お世話になった職場を退職した。翌年、鍼灸マッサージ師を目指し、県立千葉盲学校理療科へ入学。3年間勉強し60歳にて自宅で鍼灸マッサージ治療院を開業した。

 それから15年の歳月が流れようとしている。通ってきてくださる患者さんは、ほとんど中高齢者の方である。治療は長くなるので、自然いろいろな世間話をしながらとなる。

 健康、介護、相続、身内での悩み事、政治経済、テレビのワイドショーでの話題等さまざまである。その際、私は「週刊朝日」で聞いている情報をネタにして話を広げていく。時には、話に熱中して施術の手が止まっている時がある。先だっての「週刊朝日」のトップに「歩いての健康増進法」が載っていた。足腰が衰えたと訴える患者さんに、年代に応じた歩数のことや、インターバル速歩の効用の話をしてみた。患者さんは真剣に聞いてくださり、「やってみようかしら」と言ってくださった。

 このようにデイジー版「週刊朝日」のさまざまな情報を話題にしながら、日々治療にあたり、患者さんとのコミュニケーションを深めさせていただいている。

 カセットテープから、音声デイジー版「週刊朝日」に変わり、格段に多くの情報が私の耳に届くようになった。視覚障害者にとって、社会の動きをタイムリーに知ることの出来るかけがえのない情報媒体である。

 多くの関係者、音訳ボランティアの皆様のご協力、ご奉仕によって、カセットテープ版、そしてデイジー版による「週刊朝日」が半世紀近く届けられてきたことに、ただただ感謝申し上げたい。これからも毎週届けられる音声デイジー版「週刊朝日」からの情報に耳を傾けながら、生涯現役の気概を持って、残された人生の日々を歩んでいきたい。(本誌 佐藤修史)

※週刊朝日オンライン限定記事


現代自動車、聴覚障害者向けの運転支援技術を発表

2019年01月18日 18時36分24秒 | 障害者の自立

韓国・現代自動車は、聴覚障害のあるドライバーに対し、サイレンなどの音情報を視覚や触覚に置き換えて伝える技術を2019年1月10日に発表した。緊急車両のサイレン、音声ナビゲーション、車両からの注意喚起を促す警告音、踏切音、他車からのクラクションなどを伝えられる。

まず人工知能(AI)を使って、聞こえてくる音のパターンを分析し、ドライバーに伝えるべき情報かどうかを判断する。次に情報によって、音から視覚に変換(Audio-Visual Conversion=AVC)すべきか、または音から触覚に変換(Audio-Tactile Conversion=ATC)すべきかを判断する。例えば、緊急車両などの警告音を検知した場合は、AVCを使ってヘッドアップディスプレー上にピクトグラムを表示する。また、ステアリングホイールに多色LEDを装備し、ナビゲーション情報などを色で示す。ATCの例としては、障害物までの距離など、通常であれば音声や警告音で通知される情報を、ステアリングホイールの振動に変換して、ドライバーに知らせる。

同社は、ソウルでタクシー運転手をしている聴覚障害者のDaeho Lee氏に、この技術を搭載したタクシーを運転してもらい、有効性を調査している。Lee氏は、他車のクラクションや緊急車両のサイレンが聞こえないことで、これまでに他のドライバーとトラブルになったことがあるという。また、外部情報を視覚のみに頼るため疲労が大きい。現代自動車は、運転支援技術のほかに、タクシーの乗客とのコミュニケーションを可能にするアプリケーションも開発しているという。(ライター 櫛谷さえ子)

[日経 xTECH 2019年1月16日掲載]


精神障害者雇用の現場で役立つ情報、参考事例をご提供

2019年01月18日 17時26分35秒 | 障害者の自立

「精神障害者雇用に関する企業向けセミナー」を1月29日に開催

障害者の就労支援を中心にソーシャルビジネスを展開する株式会社ゼネラルパートナーズ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:進藤均)は、「精神障害者雇用に関する企業向けセミナー」を2019年1月29日(火)に開催いたします。 2018年4月から精神障害者の雇用が義務化され、精神障害者の雇用は企業において当たり前のものになりつつあります。その一方で、精神障害者の具体的なイメージが持てなかったり、過去に受け入れが上手くいかなかった経験から、雇用に二の足を踏んでいたりするケースも少なくありません。 そこでゼネラルパートナーズは精神障害者雇用に関する企業向けセミナーを開催いたします。本セミナーでは障害者雇用を取り巻くマーケット状況や実際に精神障害者を雇用し、活躍されている事例などをご紹介。一般企業における精神障害者の雇用を更に促進するため、実際に障害者雇用の現場で役立つ情報をご提供いたします。

株式会社ゼネラルパートナーズ

Press Release     2019年1月16日