政府は2020年東京パラリンピックを契機に障害者が暮らしやすい社会を推進しようと、外食や観光などの業界団体と共に障害者への接客に関するガイドライン(指針)を業種ごとに作り、普及に取り組んでいる。東京パラリンピックの「レガシー」(遺産)として、社会のあらゆる分野でバリアフリーの浸透を目指す方針だ。
国土交通省は18年、公共交通機関向けの指針を策定した。これに基づきドライバーらを対象に、移動に困難を抱える人への接し方を習得する研修プログラムの作成にも着手。今春以降、研修の実施を呼び掛ける。
受講が負担にならないよう2~3時間の研修内容とし、障害の部位や程度に合わせ、より柔軟に対応できるような構成にする。障害のある人に講師となってもらい、駅など実際の場面を想定して、より実践的な経験を積むことも推奨する。
観光と外食、流通分野でも接客指針を作成。外食産業でつくる日本フードサービス協会は指針を踏まえて障害者を招き、店長向けの研修を実施した。政府関係者は「パラリンピックを障害者への理解を広める機会としたい。業界ごとの指針を、現場で積極的に活用してほしい」と話している。
日本フードサービス協会が障害者を招いて実施した店長向けの研修(2018年9月、東京都港区)
2019/1/8 日本経済新聞