◇新ファームウエア
富士フイルムが6日、ミラーレス高級カメラ「X-Pro1」(写真=フリー画像)の性能向上ファームウエア(Ver.2.00)を無償提供することを発表しました。無償提供開始は9月18日から。(富士フイルムのページはこちら)
新しいファームウエアでは、オートフォーカス(AF)速度とマニュアルフォーカス(MF)の操作性を改善、さらに書き込み速度、撮影後の再生スピードもアップしているとのこと。
詳しい内容は以下の通り(富士フイルムのページから)。
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1.オートフォーカス性能の向上
(1)オートフォーカスを高速化
明るいシーンや暗いシーン、および撮影距離の変化など、さまざまな条件下でのAFスピードが高速化されます。(*2)
これにより、多くのシーンでより快適な撮影をお楽しみいただけます。
(2)マクロ撮影時のフォーカス性能向上
マクロボタンを押さなくても、オートでピントが合う被写体までの距離を短縮しました。(*3)
2.マニュアルフォーカス機能の向上
(1)操作性の向上
フォーカスリング操作時のピント追従性を改善しました。また、電子ビューファインダーや背面液晶でピントを合わせる際、開放側の絞りを使い被写界深度を浅くし画像を表示することで、ピントの山をつかみやすくしました。
(2)アシスト機能(画像拡大)に、「倍率3倍」を新たに追加
ピントを合わせる際のアシスト機能(画像拡大)に、従来の「倍率10倍」に加え、あらたに「倍率3倍」を追加しました。背面のコマンドダイヤルを左右に回すことで、「倍率10倍」「倍率3倍」の切り換えも可能です。
3.書き込みスピード・処理スピードの向上
(1)カードへの書き込みスピード向上
カードへの書き込みスピードを向上させました。当社従来比最大2倍のスピードで書き込みが可能となります。(*4)
(2)撮影後の再生スピードを改善
1カット撮影または1回の連写撮影後、カメラ内の処理が終わるまで画像再生表示が出来ない現象を改善しました。再生ボタンを押して1秒後に、撮影した1枚目の画像を表示します。画像を拡大表示して確認することも可能です。
4.その他の追加機能
(1)ISO感度設定に「AUTO(6400)」を新たに追加
ISO感度設定に新たに「AUTO(6400)」を追加しました。ISO感度を上げることで、シャッタースピードを速くし、室内など薄暗い状況で起こりやすい手ブレや被写体ブレを軽減します。
その他の変更内容については、サポートページをご覧ください。なお、本ファームアップを最大限に有効化するには、お手持ちのフジノンXFレンズのファームウエアも同時に更新する必要があります。
*2 装着レンズによって効果が異なります。
*3 装着レンズによって効果が異なります。
*4 カードのタイプ、画像ファイルサイズによって効果に差があります。
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ずいぶん改善された印象ですが、裏を返せばそれほどに機能面で問題が多かったということになります。
「X-Pro1」については、少し前にデジカメinfoで、dpreviewによる詳細なレポートを紹介していました。
ローパスフィルターを廃した、際立った画質を絶賛する一方で、AF、MFの問題点を指摘。その一部を抜粋してみます。
『AF速度に関してはX-Por1はそれほど強くはない。明るい場所ではAFは良好で、シャッターチャンスを逃すことはまれだが、E-M5やGX1のAF速度には遥かに及ばない。暗い場所では、AFは顕著に苦しくなり、ライバルとの性能差は更に広がる。…(中略)…MFは3種類の方法で可能だがいずれも欠点がある。』
とのこと。
AFが遅いというのは、高級機としては致命的ですね。
私も、かっこいいカメラなので気になっていて、店頭でさわってみましたがAFが遅いのは実感。さらに、電子ビューファインダーでシャッターを半押ししてAFでピントを合わせると、ファインダー画面が固まるのにびっくり。「これでは動く被写体を写しにくい」と、いっぺんに買い気が失せてしまいました。
雑誌「カメラマン」8月号の「自腹購入!プロ31人本音」という特集で、「X-Pro1」を購入したプロの赤城耕一さんは、『基本的には欠点の多いカメラだと思う。ファインダーの出来の見事さと描写力で、欠点部分はこちらでカバーしようという気にさせる稀有なカメラだ。』と書いています。(ちなみに同氏は純正レンズのほか、Mマウントアダプターを付けてライカレンズも使っているとか。)
趣味性の高い高価なカメラなのに、欠点が多くてはユーザーに失礼だと思っていたら、(たくさんのクレームが殺到したのかも)上記ファームウエアが無償提供されることになりました。
結構なことだと思います。
ただ、どの程度まで問題が改善されたのか…
そのうちレビュー記事が出る? いや新機種の発売が迫っているので、どうでもよくなるかも…
◇新機種・新Xレンズ
*富士フイルムは6日、レンズ交換式デジタルカメラ「X-E1」を海外で発表しました。国内での発売は未定。(デジカメWatch参照)。
また同日、Xマウントレンズの新モデル「FUJINON XF 18-55mm F2.8-4 R LM OIS」と「FUJINON XF 14mm F2.8 R」も海外で発表されました。
明るい標準ズームと広角単焦点。どちらも良さそうなレンズで、とくに初のズームは使いやすそう。X-Por1ユーザーにとっては朗報相次ぐといったところでしょうね。
新機種・レンズが次々に。忙しいことです。でもなぜ先に海外で発表するのでしょう。