◆期待のレンズ交換式だったが…
カメラファンにとっては、あまり聞きたくないニュースですが、『13年レンズ交換式デジカメ出荷、15%減少 初のマイナス 』(2/4 日経新聞)という記事が…
それによると、
『カメラ映像機器工業会(CIPA)が3日発表したデジタルカメラの出荷統計によると、一眼レフとミラーレス一眼を合わせたレンズ交換式デジカメの2013年の総出荷台数は1713万台と前年比15%減少した。前年を割り込むのは03年に集計を始めて以来、初めて。』
とのこと。
低価格コンパクトカメラがスマホに食われて売れなくなっているのは、これませ何度も聞かされてきました。しかし、スマホに対抗できると期待されているレンズ交換式まで出荷が落ちているとは…
残念な話です。
何が原因なのか。同記事によると、
『レンズ交換式デジカメの13年の国内向け出荷は27%増の233万台だったが、海外向けが19%減の1479万台だった。』
ということで、国内は増えているのに海外が不振。
以前、ミラーレス一眼が日本やアジアでは徐々に浸透しているのに、欧米ではさっぱり人気がないという話を聞きました。
どうも欧米では、コンパクトなスタイルのミラーレスより、伝統的な一眼レフの方が評価が高いらしい、ということで( ここからは推測 )最近各社とも一眼レフに回帰したような外観のミラーレスを次々発表しています。
ソニー「α7 / α7R 」や、富士フイルム「X-T1 」、オリンパス「OM-D E-M10 」がそうですよね。
でも、ミラーレス一眼が欧米で売れなかったという、それだけの理由でレンズ交換式全体の出荷が落ち込んだのか…
そうではないのではないか、とメーカーも考えているようです。
◆「業界の雄」キヤノンまで
CIPAの統計に先立つ1月29日に、キヤノンが発表した2013年12月期連結決算によると、2013年レンズ交換式デジタルカメラ(一眼レフとミラーレス)の世界販売は前年比55万台減の765万台と初の前年割れでした。(朝日新聞DIGITAL など参照)
これまでずっとレンズ交換式デジタルカメラの販売台数を伸ばしてきたキヤノンでさえ初の前年割れ。
この発表では、キヤノン幹部が注目すべき発言をしています。まず朝日新聞DIGITAL から引用させてもらうと、
『キヤノンは03年、入門者からプロまで幅広い客層向けに「イオス」シリーズを投入し、デジカメファンの裾野を広げてきた。国内は今なお伸びているが、13年は海外での一眼レフが急速な不振に陥り、「レンズ交換式が引っ張ってきた環境が百八十度変わった」(田中稔三副社長)という。数十万円の高級品が売れる中国も「不景気で消費者の購買力が下がり、カメラよりスマホなどを優先する傾向が高まった」(田中氏)という。』
つまり、一眼レフが売れていた環境自体が変わったという認識です。
さらに産経新聞の記事が興味深い(msn 産経ニュース)。
それによると、田中稔三副社長はこう発言しています。
『消費者の行動が変わってきた。今まではレンズ交換式に魅力あったが(スマホなどと比べて)優先順位がトップではなくなった』
『今までと180度違った変化があるので、対応できる態勢を作りたい』
同紙の解説によると、レンズ交換式カメラは採算を重視した商品構成に見直すという意味。この結果、キヤノンの2014年レンズ交換式カメラ販売台数目標は760万台と、2013年実績より5万台少なくなっています。
まあ、売れ行きが横バイなら上々。そのなかで採算は重視していく… これは厳しい方針ですね。
となると、これからの新製品はどうなるのでしょう。
開発費のかかる高級機種は抑制?
売れ筋のKiss シリーズはさらに販売強化?
なにやら面白くない予感がしてなりません。