◆PC事業から撤退
ソニーが2月6日、2013年度第3四半期決算発表で、PC事業からの撤退(売却)を明らかにしました。(マイナビニュースなど参照)
ちょっとショックなニュースですね。
我が家にもソニーのPC「VAIO」があります。
メーンに使っているPCではなく(OSがVistaで激遅!)、そろそろ買い替えるつもり。なので影響は少ないのですが、このブランドが売られてしまうというのは… 寂しいことですね。
ソニーは、不振のPC事業を投資ファンドの日本産業パートナーズ (JIP)に売却、2014年春モデルを最後にVAIOの製造、販売を収束するとのこと。
JIPというのはどういう会社かというと、engadget 日本版 が以下のように説明しています。
『ソニーからPC事業を購入する JIP は、企業が決算の重荷になる不採算部門を切り出した際に、独立事業として成立させるために設立された投資ファンド企業。直近では(NEC)ビッグローブのカーブアウトにも関わっています。
JIP はVAIOブランドPCの企画・開発・販売を手がける新会社を設立し、単独での収益安定化を目指す予定。新会社は現在ソニーのPC事業がある長野テクノロジーサイト(安曇野)を拠点として、現在のソニーおよび関連会社の社員を中心に250名から300名規模で操業する見込みです。経営は現在ソニーでVAIO事業を担当する赤羽良介 氏が中心となる予定。』 (*カーブアウト=事業分離)
どうやら、ソニーの手を離れても「VAIO」というブランドは残りそう。また、発売済みの「VAIO」のサポートは続けられるそうです。
でも、新「VAIO」って、買う気になるかどうか…
こうなった背景には、ソニーのPCのシェアがもともと少なく赤字続きだった上に、「パソコン」なるものが以前ほど必須ではなくなってきた時代の流れがあるようです。
確かに、ネットの情報を見るにはスマホやタブレットで十分だし、デジタル写真をプリントするのもPCなしでできますものね…
その辺の事情を絡めて、ダイヤモンド・オンラインは『ソニー、パソコン事業売却決定
“ソニーらしさ”の追求で吹っ切れたか 』という記事で分析しています。
十数年前、「これからはパソコンの時代だ!」と、誰もかれもが肩に力を入れてマウスを握っていたのがウソのよう。
2月6日のソニーの発表では、テレビ事業の改革も出ました。高画質の「4K」製品を強化する一方、2014年7月をめどに完全子会社として分社化する計画。
同時にPC、テレビ事業を合わせて約5,000人を削減。
退職金の積み増しや事業撤退の減損処理もあって、2014年3月期の連結決算は1100億円の赤字になると、新聞の大見出しになっています。
これに先立つ1月27日、格付け会社ムーディーズ・ジャパンは、ソニー の格付けをジャンク級(投機的格付け)の「Ba1」に引き下げたと発表していました。
日本を代表する企業を「投機的」とは… ひどいな、と思いましたが、こうやってリストラ策が打ち出されてみると、「ソニー、大丈夫?」と思わずにはいられません。
◆デジタルカメラは…
とくに、ソニーのデジタルカメラが大丈夫なのかどうか、気になりました。
RXシリーズや「α7 / α7R」など、良い意味で「尖った」製品が次々出ているのですが、将来的にどうなんでしょう。
今回の発表につけ加えられていた、「2013年4月~12月の連結業績概況」を眺めてみると、気になることがありました。
「円安なのに… 」。
そう、2013年4月~12月の9ヶ月間の円レートは、前年同期に比べ、米ドルに対して19.5%の円安。
これが追い風となって、ソニー全体の9ヶ月間の売上高は5兆9,010億円と前年同期に比べ16.4%の増収です。(にもかかわらずリストラ策を打ち出さなければならないとは、経営の内容が悪いことの表れ。)
このなかで、デジタルカメラやビデオカメラが属する「イメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)分野」が、コンパクトデジタルカメラなどの市場縮小の影響で、減収になっているのは良くないですね~
2013年度第3四半期決算で、IP&S分野は一応黒字を確保しているものの、「将来的に楽観を許さないのでは」という印象です。
平井社長は、いまのところデジタルカメラをリストラ対象にするつもりはないみたいです。が、売り上げ次第では… どうですかね…
こうなれば、ソニーのカメラをどんどん買ってあげましょう(お金のある人は)!
一方、ソニーで好調なのは、ゲーム(欧米で発売されたプレステ4 が大人気)、スマホ・タブレット販売。また、金融(ソニー生命、ソニー銀行)、映画、音楽も堅調。
「プレステ4 」は、日本でも2月22日に発売されますが、事前の人気ぶりからして、ソニーの経営を下支えする期待がかかっています。
見込みのないPC事業を「切った」のは良い判断かもしれませんし、ゲームが当たればソニーは元気に。
エレクトロニクスは競争が激しい。ゲームにしても映画にしても浮き沈みが激しい。そういうものに左右されるところが“投機的”といわれるゆえんかもしれません。
まあ、それがソニーらしいところですけど…