Redo Bentall手術。心臓外科の手術の中で、最も大きな手術の一つとも言えます。Bentall手術は大動脈基部再建術の主な術式で、主にバルサルバ洞および大動脈弁輪が拡大して大動脈弁逆流を起こす病態に対して、バルサルバ洞を含む大動脈基部を大動脈弁ごと再建する手術です。この手術の難しさは、出血した場合は止血が難しい点、左右冠動脈の再建が必要で、この再建がうまくいかないと命にかかわります。筆者が初期研修医時代、初めてこのBentall手術に第3助手として入った二十代の男性の患者さんは出血が止まらず、10時間も手術時間がかかったうえ、術後ICUでも出血が持続して亡くなりました。昔は待期手術で亡くなる人も多かったと思います。今ではノウハウも蓄積してきたこと、医療技術の進歩なども加わって手術時間は4~5時間、待期手術の死亡もかなり減っているのではないでしょうか。
しかしながら、前に心臓大血管の手術を受けた患者さんが再手術でこの大動脈基部再建術が必要になった場合は、外科医としてはかなり構えて行う手術であることに間違いありません。再手術の場合は癒着が起こった状態を剥離してからの手術になるので、冠動脈再建が難しくなる可能性が高い、ということが一つの理由ですし、癒着剥離がうまくできないために再建操作自体が難しくなることもあります。予定の初回手術では4~5時間で終わるところ、再手術ではおそらく7~8時間かかると思います。
このRedo Bentall手術のポイントは、なんといっても冠動脈再建です。冠動脈を損傷した場合の、修復は困難となるため、冠動脈を閉鎖して大伏在静脈などでバイパスを作成するほうが確実です。また、再建した冠動脈にうまく血流が流れない、ということもあり得ます。その場合は、再吻合するよりも、バイパスを作成するほうが確実です。冠動脈再建部位から出血した場合は大動脈遮断解除後は見えなくなるので止血が非常に難しくなります。
こうしたポイントを常に念頭に置きながら手術をすることで、危険回避しながら手術するためか、今までの経験上は、Redo Bentall手術の成績は実は悪くありません。危険予測とその対策を十分に行うことが、大きな手術を行う上で重要といえます。
しかしながら、前に心臓大血管の手術を受けた患者さんが再手術でこの大動脈基部再建術が必要になった場合は、外科医としてはかなり構えて行う手術であることに間違いありません。再手術の場合は癒着が起こった状態を剥離してからの手術になるので、冠動脈再建が難しくなる可能性が高い、ということが一つの理由ですし、癒着剥離がうまくできないために再建操作自体が難しくなることもあります。予定の初回手術では4~5時間で終わるところ、再手術ではおそらく7~8時間かかると思います。
このRedo Bentall手術のポイントは、なんといっても冠動脈再建です。冠動脈を損傷した場合の、修復は困難となるため、冠動脈を閉鎖して大伏在静脈などでバイパスを作成するほうが確実です。また、再建した冠動脈にうまく血流が流れない、ということもあり得ます。その場合は、再吻合するよりも、バイパスを作成するほうが確実です。冠動脈再建部位から出血した場合は大動脈遮断解除後は見えなくなるので止血が非常に難しくなります。
こうしたポイントを常に念頭に置きながら手術をすることで、危険回避しながら手術するためか、今までの経験上は、Redo Bentall手術の成績は実は悪くありません。危険予測とその対策を十分に行うことが、大きな手術を行う上で重要といえます。