すごいドラマがあります。このドラマ、ブラックペアンなど比較にならないリアルさがあります。今のNHKドラマ、かぞかぞ、とも呼ばれている、「家族だから会いしたのではなく愛したのが家族だった」というドラマ。一家族の話なのですが、非常に共感する部分が多い家族ドラマです。
心筋梗塞で具合が悪そうな父のシーン、それに「死んでまえ!」と娘が言い放って学校に出かけてしまい、それっきりになってしまったシーン、衝撃的過ぎて、また演技が真に迫っている上手さ、迫力、素晴らしかったです。心筋梗塞がどうかはわかりませんが、錦戸亮さんの具合悪そうな演技、本当に真に迫っています。
ダウン症の弟君の演技、最高です。素で演じているのか、そのものすぎて、一挙手一投足に感動しています。おそらく障害者が家族にいる人なら心から共感するのではないでしょうか。その周囲にいる家族の心境が非常によくおそらくそのままに表現されています。
母親が大動脈解離で緊急手術を受けたあとに脊髄虚血から対麻痺になってしまい、車いすの生活から社会復帰し仕事をしたり自動車の運転をしたり。その母が、突然の発熱。実は大動脈解離の時に移植した人工弁が感染して、弁輪部膿瘍に至り緊急手術。朝からの手術が終わるもが深夜、これもまた現実そのもの。その待つシーンなど、本当に現実そのもののリアルさがあるドラマです。
心臓外科医でないと決して思いつかない、大動脈解離⇒対麻痺、その後の人工弁感染、弁輪部膿瘍といった超専門性の高い内容のストーリー、どうしてここまでリアルなんだろう。坂井真紀さんの敗血症で発熱して具合が悪そうなシーン、リアルそのもので、本当に具合が悪くないとこの演技できないです。
このドラマ自体、誰かが想像で作ったとは思えないリアルさがある、とすごく引き込まれてしまうのですが、その理由がわかりました。ネットで検索したら、このドラマは、原作が、作者の岸本ななみさんが自分で体験したこと、家族のことを書いたブログが大きな反響をうけ、本になって出版され、それがドラマ化したものだったのです。想像の産物では決して生まれてこない現実さは、現実そのものだったのです。そしてそのもととなる病者の表現力が読者をここまでひきつけるのでした。
このドラマの中で、いくつかのキーワードとなるようなセリフがありますが、これもまた人生を素晴らしいものに変えてくれる魔法の言葉、たくさん入っています。この魔法の言葉がきっと読者をひきつけることになっているのでしょう。
その中でも
①父の言葉「迷ったらおもろい方を選べ」 まさに筆者が普段仕事や生活をしていて、規範となる考え方です。心臓外科医としては非常に大事な仕事スタイルと思っていますし、若手の教育にもこの精神を大事にしています。
②母の言葉「この子達の成長を見守るために自分は行かされている」対麻痺になって不自由の生活を強いられる理由、これは自分の子供の成長を見守るチャンスとして享受するべきものであった、と気づかされたシーン、心に残ります。
涙なしでは見られないこの秋一番の心を揺さぶるドラマです。