横須賀うわまち病院心臓血管外科

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腹部大動脈瘤術後で下肢の浮腫は出るの?

2019-02-23 19:46:15 | 大動脈疾患
腹部大動脈瘤術後で下肢の浮腫は出るの?

こんな疑問で検索をして、このブログに行きついた方がいらっしゃるようなので、お答えします。
基本的に腹部大動脈瘤の術後(人工血管置換術)では、その手術による理由で下肢の浮腫は出現しません。どちらかというと、術直後は血管内脱水に陥りやすく、補液を多くして血中の水分不足を補う術後管理が必要です。

もし、浮腫が出現するとしたら、その理由としては

①腎不全や心不全、体液の過剰により、体重が著しく増加して、その表れとして浮腫が出現している可能性
  これだと、術後数日から1~2週間で術前の体重にもどるので、それとともに浮腫は軽快します。
  もし心不全や腎不全が遷延すると、その病状によっては浮腫は持続します。
  特に高度の蛋白尿を伴う腎機能障害で、低タンパク血症を呈すると特に浮腫が出やすくなります。
  体液貯留による浮腫だと、下肢浮腫の他に、胸水、腹水貯留などが体重の増加とともにみられる可能性があります。

  まれですが、この手術で尿管を損傷する危険性があり、その場合は、水腎症とともに腎障害が出現する可能性があり、また腎動脈の術中操作によっても腎不全を呈する可能性があります。

②骨盤内操作により骨盤内リンパ節、リンパ管の損傷が合った場合
  また、鼠蹊部の操作によって、リンパ流が障害された場合

③術後のリハビリテーションがすすまず、長期臥床状態になった場合
  血流のうっ滞に伴う浮腫が出現する可能性があります

④食事摂取不良による低タンパク血症

などが考えられると思います。

  
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