香川県の西讃地区には、八朔節句、馬節句の風習がある。男の子がいる家では、「だんご馬」を作り、子供の健やか成長を願うようだ。
八朔の頃は、早稲の穂が実るので、農民の間で初穂を恩人などに贈る風習が古くからあった。このことから 田の実の節句 と言う。歳時記には、慿の節供 姫瓜の節句 八朔の祝などとして載っている。
丸亀藩生駒家の家臣、曲垣平九郎にちなんで、讃岐の丸亀辺りでは、米の粉でだんごの馬を作ったともいわれている。
☆ 祓はれて闇夜の海へ田面舟 林 徹
☆ 八朔祭猫もかまぼこ貰いけり 香野倫子
古い江戸時代の俳人の例句にはあるが、近代の作家の例句はほんの2,3句しか載っていない。
私が満濃公園の自然観察園を訪れた時、この男の節句飾りを、さぬきの家に飾っていた。
テレビのニュースなどで、観たことはあても、実物の、だんご馬を見たのは初めてだ。
だんごで作った勇み駒の手綱や腹帯を赤い布で美しく装っている。
八朔の祝いへつつい残る家
秋暑しまず広縁に招じらる
これ見よと田の実節句の馬飾る
たつた今開きしばかり羊草
ひつじ草婆さまの履く布草履
種瓢へついに貼る火伏札
秋暑し水を張りある木の盥
花梨の実束の間憩ふ広き縁
バッタ跳ぶ一気に越して釣瓶井戸
紅槿さながら十八番娘とも
子供達が沢山遊んでいた。釣瓶井戸もめずらしいし、木の盥など名前も知らぬようだった。
リメイクの布草履。お婆さんが、布団を潰した生地で、若い皆さんに作り方を伝授していた。