とりあえず、ここ2日で読んだ本3冊について。
太田光「マボロシの鳥」
またしても、ミーハー心で話題の書を読んでみました。
(大混雑の新幹線自由席で、立ったまま。)
ひどい本(=KAGEROUのことだとは、一言も…)を読んだ直後だからか、
ものすごく良く感じました。
文体はとても特徴的、
言葉選びは、人によっては稚拙と感じる人もいるかも。
でも私には「あえて」そのようにしている感じがしました。
テーマは、表題作の言葉を借りるなら「世界の秘密」、
本当に大切なものは目に見えないとか、
きずなとか、そういうもの。
単に小説としてすごい、というわけではなく、
太田光が書いたから納得、という、
作品単体だけでは補完しきれていないあたりは賛否が分かれるところでありましょうが、
私はそれで良いと思います。
というか、太田氏本人が朗読している本作品を是非とも聞きたくなった。
よしもとばなな「どんぐり姉妹」
この作品も「目に見えない大切なもの」「人と人との不思議なつながり」がテーマ…
なのかな。
よしもとばななの作品は、言葉の使い方のおかしさとかを論議する人もいますが、
私は毎度その辺はちっとも気にならず。
ばななの作品は、書いてある文章の向こう側にある何かを伝えるために書いているというか、
読者が作品を通して自己を見るための鏡のようなものだと私は思っている。
ばななの作品に向き合うことは、私にとってはセラピーのようなものです。
なので冷静に書評は書けなくてごめんなさい。
夏川草介「神様のカルテ」
第10回小学館文庫小説賞受賞作。
過酷な医療現場で奮闘する医者を、飄々と描いた作品。
テーマも良い。風変わりな主人公の人物像も良い。
作者が医者なだけに、現場の臨場感もリアル。
漱石好きの主人公の1人称で語られる文体も、軽妙でするすると心地よく読める。
しかし…
主人公の細君が「夫をたてて3歩後を行く」感じのロリ系黒髪美少女であることがわかった瞬間、
どうしようもなくラノベ臭が漂ってしまった。
あとタイトルに何故「神様」なんてことばを入れちゃったのか。
その2点が残念でたまりません。
丸2日で単行本3冊読んでしまったため、せっかく里帰りをしたのに
読書以外は生きるための最低限の活動しかしていないという有様。
まだ読みたい本がたくさん傍らにあるけど、
とりあえず明日は読書を止めて、良い景色の中を散歩でもしてきます。