佐渡山豊のことを思い出したついでに、90円コンサートのことも書いておこう。
私がやはり中学生のころ、市民会館の大きめの会議室みたいな部屋で、若者(高校生?)が集まり、ギターかき鳴らし歌って(叫んで)いた。
時間は夕方だ。
終わって帰宅しても叱られない程度の時間帯。
私よりちょっと年上のお兄さん達が、
百円で10円おつりをくれて、立ち見で聴く。
チラシで知り、いつも1人で行った。
毎回最後は
吉田拓郎の
「人間なんて」
で終わる。
その時の私は吉田拓郎の歌とは知らなかったのが可笑しい…
延々続く
人間なんてラララ~ララララ~ラ
やがて、私も気づいた。
この人達はラジオで流れている歌を歌っている人だけど、本物じゃないんだ…と。
歌謡曲はテレビで流れるから興味なくても顔くらいは知っていたが、ラジオでしか聴けないフォークシンガーは、田舎者の私にはよく解らず、ただ魂に響く叫び声だとだけ思って、音がするところに吸い寄せられているという現象みたいなものかな。
ある日、百円受け取ったお兄さんが10円渡しながら、
「いつも1人できてるんや」
と言った。
ただそれだけ。
あぁ、私、ひとりで来てるんだ…って気がついた。
まったく夢見心地の時代だった。