はせがわクリニック奮闘記

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本屋大賞翻訳部門第一位

2012年06月05日 | 読書


作者フェルディナント・フォン・シラーは1964年生まれですので47歳くらいでしょうか。
1994年からベルリンで刑事事件弁護士としての活動を始め、2009年に処女作として出版したこの作品が45万部のベストセラーとなり、世界32カ国で翻訳されました。

自分が扱ってきた刑事事件の中から11の症例をピックアップして紹介するという体裁です。
文学のジャンルとしてはハードボイルド小説以外の何物でもありません。
抑制の効いた文体で冷静に出来事を羅列していき、所々にアイロニーをちりばめています。
退屈せずに読み終えることができましたし、ベストセラーを記録したことにもうなずけます。

読後感ですが、印象に残ったのは、”ドイツはヤバそうな国だな”というものでした。

2番目の症例にトルコ人街で違法賭博場を数軒経営するポコルという男が登場します。
彼は自分の甲斐性は短気で喧嘩っ早い点だと思っています。
15年前に、ある食堂で食事をした時に、食事代を請求されただけでキレてしまいます。
その店主とは全く面識が無かったにもかかわらず、ポコルは注文した物を壁に投げつけ、車からバットを取り出してきて、
店主の右目と左腎と脾臓を叩きつぶし、残りの人生を車椅子で過ごすことを余儀なくさせてしまいます。
残りの人生と言っても、ポコルに禁固8年の判決が下された日に、地下鉄の階段から車椅子ごと転落して首の骨を折るまでの短いものでしたが。
この事件は街中に知れ渡り、出所後ポコルは食事代を払うことが無くなりました。
トルコ人街という特殊な環境のせいかも知れませんが、日本では考えられません。

ドイツでは毎年2400の殺人事件が発生するそうです。
調べてみると日本では1200から1300件で推移しているそうです。
しかしドイツの人口は8250万人ですので日本の2倍以上となります。
さらに調査の幅を広げてみると、アメリカは日本の10倍チョイで年間17000人が殺されました。(2006年)
最悪はコロンビアの年間3万人チョイですが、日本に換算すると、なんと8万4千400人が殺されることになります。
日本は殺人事件が少ないランキングでは、統計によっても違いますが、殆んどトップに近いと言えます。
統計A: 1.スーダン 2.エジプト 3.日本
統計B: 1.パキスタン 2.カタール 3.ミャンマー 4.キプロス 5.モロッコ 6.日本
イスラム圏は戸籍制度が無い国も多く信用できません。ミャンマーはミエミエの嘘です。
この中でもしかしてそうなのかなと思えるのは、物騒な北キプロスを除外した南キプロスだけのようです。