こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

夢うつつ

2006年07月02日 20時25分47秒 | おれ流文芸
夢をみることがなくなった。寝床の中でも、現実でも……やっぱり、年のせいかな?な~んてね。語りかける相手は『タロ』。我が家族の一員になってから、かれこれ10数年になる。もちろん?血統はない。正真正銘の雑種だ。タロも、やっぱり年寄りだ。たぶん、私の悩みに共感を覚えてくれるだろう。その証拠に、彼は、いつだって、ブツブツ繰言を続ける飼い主の口元を見詰めて、時々、{なんだ?」って首をかしげている。
 タロは、人間の年齢に見積もると、ほぼ80ぐらい。もういっしょに語れる時間は残り少ない。だから、夜勤から帰った足で、彼の元を訪れるのが日課になって久しい。
 朝5時半。足を忍ばせて、彼らが眠る場所へ。そう、タロはひとり?じゃない。家族がいる。妻と娘が。当然、タロよりは若い。忍び寄る気配に気付くのは、やはり彼女らだ。タロといえば、眠りほうけたままだ。「タロ」呼びかけても、まだ反応はない。そーっとてを伸ばして頭を撫でてやっても、まだ起きない。(もう番犬にはなれないな、タロ)二度三度撫でていると、タロの目がぼんやりと開く。ぴくっと身体が反応。年を取るということはこういうことなんだ。他人事じゃないぞ。飼い主を、ようやく認めたらしい。ガバッとおきあがろうとしたが、そうはうまくいかない。タロはお年寄り。前足をすべらせて、ガクンとあごを地面に打ちつけた。タロ、いいんだよ。お前の顔さえみたら満足なんだから。腰をブルブル震わせるタロが愛おしい。まだまだゆっくり寝てろ、タロ。私の話は、また後でゆっくり聞いてくれよ。
 タロは、私の顔をペロッと舐めた。
コメント
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