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こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

コラム・節約は夢のために

2015年04月08日 00時17分52秒 | 文芸
節約は夢のために

(独立するんだ!自分の店持つぞー!)
 人生で初めてとも言える目標を立てた。
 レストランに勤めて、アパート住まいのひとり身。二十四歳だった。手取り十五万円で家賃は一万五千円。外食と遊興費を減らせば、月に十万円は貯金出来る。それで独立資金は充分まかなえる。単純明快な思考で走り出したわたし。
 実家は農家。米や野菜を送って貰って自炊を実行した。喫茶店で飲んでいた珈琲も、インスタントもので済ませた。間食は誰かの奢りでないと一切とらないと決めた。
 トイレは勤務先で済ます。昼飯は、仕事場の残り物をつまみ食いして腹を満たした。公園で休日を過ごす方法も身に着けた。
 それやこれやで徹底した節約の成果はしっかりと現れた。最初の月末、手元に残ったお金は十二万円!すぐさま銀行で口座を作った。真新しい通帳を手にした時の嬉しさは格別だった。
(これなら、やれる!)と自信を持った。
 毎月、通帳の数字が増えていくのを、ドキドキワクワクしながら毎回確認した。
 ちょうど三十歳で貯まった額は六百万円。自己資金には充分過ぎる。融資を受けて、店舗を借りれば、独立の夢は叶う。胸のうちに快哉を上げた。
 夢と希望を一途に目指す若さが成し遂げたものは、生きる自信と逞しさを伴った。結婚し家族を持つのにつながる成果だった。
 あの節約生活は、わたしが生きた証しでもある。
(ライフ・平成二十四年三月号掲載)

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