秋止符
「終」止符ではなく「秋」止符にした表現が憎い
恋は「秋」で終わった
いまの時代は 恋文も別れ文も
手紙ではなくスマホによる秋止符なのであろうか
「あの日の夏がなかったら」、という
たった1行のなかに どんな出来事があったのか
恋をしているときの紅葉は
美しく心にも映える
失恋をしたときの紅葉は
切なく悲哀(かなしい)色に見えてしまう
秋は別れ歌(詩)が多い
恋文には無縁だった自分
恋文も詩も
行間のなかに
書ききれない想いが
埋まっているのかもしれない
秋止符
作詞:谷村新司、作曲:堀内孝雄、唄:アリス
1 左ききのあなたの手紙
右手でなぞって真似てみる
いくら書いても埋めつくせない
白紙の行がそこにある
友情なんて呼べるほど
きれいごとで済むような
男と女じゃないことなど
うすうす感じていたけれど
あの夏の日がなかったら
楽しい日々が続いたのに
今年の秋はいつもの秋より
長くなりそうな そんな気がして
2 夢を両手に都会(まち)に出て
何もつかめず帰るけど
やさしさの扉を開ける鍵は
眠れない夜がそっと教えた
心も体も開きあい
そこからはじまるものがある
それを愛とは言わないけれど
それを愛とは言えないけれど
あの夏の日がなかったら
楽しい日々が続いたのに
今年の秋はいつもの秋より
長くなりそうな そんな気がして
春の嵐が来る前に
暖かい風が吹く前に
重いコートは脱ぎすてなければ
歩けないような そんな気がして