1709 南杏子『ディア・ペイシェント』幻冬舎文庫
『ディア・ペイシェント』絆のカルテ
文庫本を手にする前に
貫地谷しほりさん主演 真野千晶医師役のNHKドラマを先に観た
『ディア・ペイシェント』の意味は直訳すると『親愛なる患者様』となるが、
医療の現場でも『モンスターペイシェント』という言葉がある。
『モンスターペイシェント』というのは、すべてに文句をつけるクレーマー患者であったり、
執拗に医師や看護師に対して嫌がらせをするなどの患者のことを指す。
南杏子さんは、皮肉的に「ディア」としたが、本当は「モンスター」と言葉に置き換えられる。
千晶医師の前に現れ、嫌がらせを繰り返す患者・座間敦司が、物語を展開していく。
『サイレント・ブレス』とは違うカルテの書き方になっている。
NHKドラマの方では、座間敦司は持病 糖尿病(インスリン注射)を抱えながら母の介護を行っていた。
仕事を辞め生活保護や介護サービスを拒否しながら、介護を行うもストレスも溜まり限界に達していた。
介護にも視点をあてていたたので、原作ではそこも触れているのかな、と思いながら読んだが
そこは余りふれていなかった。
『サイレント・ブレス』(幻冬舎文庫)の322頁に
千晶の父は富士河口湖町の樹海が迫る国道に真野診療所で長年、地域医療に従事してきた。
その父が千晶に話す。
「ここでたくさんの人々を看取ってきた。それで分かったのは、人はいつか必ず死ぬという
ことだ。だから、治すための医療だけじゃなくて、幸せにいきるための医療を考えてきた。
たとえ病気があっても、その病と共存して、最後まで心地よく生きられるような治療を誠実
にやってきた。その先に死があっても、それを受け入れる」
自分も病をたくさん抱え、常日頃 大学病院や地元の病院、クリニックに受診していて
待ち時間は長いが、本を読む時間としているのでそう苦痛には感じない。
入院が一番こたえる。それは在宅訪問などケアマネジャーの仕事がストップし
代わりにやる人がいないからである(居宅介護支援事業所の運営を一人でやっているため)。
病気があっても入院しないよう「健康管理」に気をつけてはいるが・・・・
薬どうしで反発しあい副作用がでたりして、新たな病気が発見されることが辛い。
一つの臓器(自分は慢性腎不全症)が悪いと、他の臓器に悪影響をもたらす。
親愛なる患者として主治医の言葉(診断)を受け容れ
病と共存しながら生きていくことかな