老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

夕暮れ時

2020-10-11 03:51:11 | 老い楽の詩
1711  夕暮れ時

夕暮れ時は
老いの時間
老いは喪失の時
仕事を失い
生活基盤を失う

老いを重ね
病いも抱え
不幸にも脳卒中にあたり
手足の自由を失う

記憶のピースも失い
「私は誰だ、あなたは何者だ」と
自分が誰だかわからなくなる
妻の顔も忘れてしまう

老いは砂時計
最後の一粒の砂が 音もなく落ちた瞬間
医者様は「ご臨終です」と告げた
最期は 妻に手を握られ逝きたいものだ

そう想いながら
夕暮れに染まった川の流れは
老いの風景
なんだか寂しいね

老いは喪失の時ではなく
老いは自遊の時
枯れ朽ちても春に咲く桜
自然に躰(み)をまかせ生き逝く