老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

熟柿(ベチャ柿)

2020-10-17 05:33:33 | 老いの光影 第8章 認知症老人の世界

1717 熟柿(ベチャ柿)

変な夢を繰り返し見た
beagle genkiの声で目が覚め夢が消えた

どんな夢だったのか
夢か現か

林檎のように固い柿や桃は好きではない
柿も桃も 齧ったとき汁がこぼれ落ちるほど熟した物がいい

認知症のお春婆さんが夢に出てきた
お春婆さんは長女と二人暮らしをしていて
昼夜逆転、夜徘徊しまくり長女は眠れず疲労困憊にあった
木の枝から落ち熟した柿を
春婆さんはポケットに入れ持ち帰り
長女に内緒で食べた

10名定員の小規模デイサービスに事業所を変え
週6日利用するようになってから
3日目の利用で昼夜逆転も徘徊も夢の如く消失した
「死んだように老母は寝ていました」、と話す長女

老母が夜いない日もあれば気が休まる、と思い
余り気乗りをしないのだがショートステイを利用した
翌朝、ショートステイの男性スタッフから電話があった
「(朝食のとき)おかずが詰まり心配停止になった」

老母は好きな食べ物を口にしたままあの世に逝かれた
家でも手がかかり大変な老母であった
老母の面倒を見るのは施設の人も大変だったから(死んだことを)責める気はありません
家で死ねなかったことは残念だったが、悔いはありません

エンドレスの如く繰り返しその夢を見ていた
老人は住み慣れた家で死ぬことを欲している
運よく家で死んだ老人もいれば
病院や介護施設のベッドで死んだ老人もいる

老親がどこで死のうが
悲しみ泪を流してくれる人がいるか・・・・
夢か現か 感じた