針の木岳
明け方からの雨が雪に変わり、ひと時激しく荒れた。
冬大佐の最後のあがきなのだろう。
土手の斜面の雪がいつの間にか消えて、代わってヤブカンゾウが緑の角芽をのぞかせた。
季節の全てはうまく回転しているのだけれど、表情は冴えない。
長野県東部地方で放射線計測値が少し上がったというニュースに市場関係者の反応は素早い。
不正表示、不正原料事件の時は消費者の安全を守る関係者の行動に、ためらいなく喝采を送ったのに、今回は逡巡する。
「鳥や獣は食物を貯えたり、数多くの衣装を揃えなくとも、日々の糧を得て、美しく装い、楽しく過ごしている」