HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

おばちゃんソナタ

2009年03月28日 | 音符・楽譜・テクニック
S子ちゃん(小4):
モーツァルトのソナタK545の前半(展開部の前まで)が大体できてきました。

まず、1回目は 家で練習してきたものを一通り弾いてもらいます。
ふんふん、なるほどね。じゃ、もう一度最初から弾いてもらいましょう。今度はダメ出しがあるぞ。

S子ちゃんが2度めに弾き始めて、5小節め~6小節めあたりに来たときです。
「ちょーっと待った!」
先生の声が飛びました。
「左手!1拍めのあとに、トン、トン、って休符があるはずなのに、だーっと延びちゃってるよ。ほら、ここから4小節。」
(楽譜がある人は見てみてください)
「ここは軽やかにタッ、タッ、と左手入れなきゃいけないのに、はじめだけ軽くて、後はだーっと重いよ。こんなふうになってる」
と、先生はS子ちゃんの弾き方を真似して弾いてみせます。
「タッ、だ~。 タッ、だ~。ねっ、お休みの間、ずっと延びちゃってるでしょ。これって、おばちゃんが『どっこいしょ~、あーあ』って歩いてるみたいで 重いよ!」
「うわあ、ほんとだ」
「ほら、遠足とかで見かけない? どっかの名所の高ーい石段をさ、タッ、タッ、タッ、タッ、って軽やかに登れば若々しいけど、おばちゃんたちのバスツァーとかが来てさ、その石段を『どっこいしょ~、よっこらしょ~』って登ってる」
「あー。わかる・・・」
「ね、さっきみたいに弾いたらおばちゃんくさいよ。タッタッと若々しく弾いてよね」
「はーい」
S子ちゃんは、クックッと笑いながら弾きました。左手、軽やかにタッ、タッ、と弾いて、順調に9小節目に差し掛かったとき・・・
「それで今度は何でいないーっ?」
「えっ?」
「さっきは左手長すぎたのに、今度は短すぎ!1小節伸ばしてるはずなのに、途中でいなくなってるじゃん!」
「あーっ」
「またまたおばちゃんだよ!石段ではよっこらよっこら、グズグズしてみんなを待たせたのに、上についたら ガイドさんの『みなさん、こちらがかの有名な・・・』って説明してるのも聞かず『トイレ~』って行っちゃって、いなくなってる」
「アハハ、アハハ」
「もぉ~、おばちゃんは身勝手なんだから。ちゃんとみんなと一緒に集まってお話きかなきゃ!」
「はーい」
左手かろやかに、伸ばす音はきちんと伸ばし、次のコーナーへ差し掛かる。
13小節目で左手の細やかなトリルを1小節待った後、右手の美しい第2主題が登場。
なんだけど、S子ちゃん、右手はのんびり膝の上にいたので、出番が来てあわてて飛び込んだ。なんとかセーフだけど。
「来て待ってなさいよ、ここへ!1小節も時間あるんだから!」
「あっ、はい・・・」
「ま~たおばちゃんだ。集合時間になってもいない!『みなさん、集まりましたか?』って行ってるのに、おばちゃんだけは勝手に『おみやげー』って買いにいってる。ちゃんと前もって、集合場所で待ってなきゃ、でしょ?」
S子ちゃんはもう大うけです。大笑いしながら、でもちゃんと気をつけて弾いています。
「はいっ、じゃここまでね。おばちゃんにならないように気をつけて練習してきてね」
「はーい」

と、今日は「アタック(打鍵)」と「リリース(離鍵)」のタイミングが悪いと、どんなにダサい演奏になるか、というお話でした。
みんなもわかったかな?