自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ハリガネムシが路上に

2013-01-08 | 生物

12月末,雨の降り続く寒々とした日のこと。近くの路上を歩いていると,前方に針金のようなものが横たわっていました。色は濃い褐色で,長さが50cmほどだったでしょう。

近づくと,ゆっくりながら動いていました。「なんじゃ,これは!」と思ったほどの風景でした。正体はハリガネムシです。

ハリガネムシはカマキリのお腹に寄生しているので,よく知られています。見ようによっては気持ち悪いかもしれません。辺りにカマキリの姿はありませんでした。

ハリガネムシの生態はよくわかっています。水中で交尾・産卵をして孵化。幼虫のときに水と共に水生昆虫に飲み込まれ,たまたま昆虫がカマキリに食べられた際にカマキリの体内に取り込まれ,そこで寄生して成虫になるのだそうです。

水生昆虫がカマキリに食べられるとは,考えてみればふしぎで,どんなときなのかなあと思ったりします。水が乾いて,昆虫が取り残されるような場面がありうるのでしょう。

さらにふしぎなのは,この日に見たハリガネムシは小さな水溜りにいて動いていましたが,そのまま乾し上がるとハリガネムシは鉄の針金のように硬くなってしまい,また水を浴びると元に戻るとか。

考えれば,カマキリの体内から出ても水が近くにあるとは限りません。水がないと死が訪れます。そう簡単には死なないように,進化してきているわけです。すごい生態です。