自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

冬のカンサイタンポポ

2013-01-29 | 

わたしが住む地域では,カンサイタンポポのほかにセイヨウタンポポ,アカミタンポポがあり,わずかながらシロバナタンポポも生えかけています。セイヨウタンポポとアカミタンポポは花や葉だけでは区別がつきません。実ができるのを見届けて色を比べてはじめてわかります。

カンサイタンポポが外来種に一方的にやられているかといえば,そんな単純なものでもありません。うまく棲み分けができているように思います。

これらのタンポポのうち,冬開花するタンポポはセイヨウタンポポとアカミタンポポです。このタンポポは一年中咲きます。冬は虫の花粉媒介を必要とせず,ちゃっかり結実します。それだけたくましい生活力をとくべつに備えているところがミソです。

それから,付け加えですが,つい先日,家の前でシロバナタンポポの花を一輪見かけました。この花は完全に萎んでしまって,結実しませんでした。シロバナタンポポ一般で考えると,冬の結実はどうなのでしょう。

一方,どの地域であれカンサイタンポポが冬咲くのはかなり珍しいでしょう。この種の結実には,必ず訪花昆虫を必要とします。いまどき昆虫はほとんどいないと考えられますから,まず咲いても無駄花にしかならないでしょう。

無駄花にしかならないのに,今日,道端でこの花を見かけました。ここはカンサイタンポポが小群落を形成しているところで,春になると結構まとまったかたちで花が並びます。 

 「この花は結局このまま萎んで枯れるしかないなあ」と思いながら,写真に収めました。

すぐ近くに,菜の花が咲いている畑があります。タンポポを撮影した後,その花を観察してみました。すると,驚いたことにツマグロキンバエが一匹だけ蜜を舐めていたのです。

菜の花は黄色,タンポポも同じ黄色。黄色に導かれて菜の花を訪れたのなら,タンポポにだって訪れてもふしぎではありません。そうなると冬にも実を結びうるという話になります。話は単純に割り切れないものです。例外のないルールはないといいますが,これもまた自然の多様性のうちと承知しておくのがいいのかも,です。