自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

カマキリの死体

2013-01-13 | 生物

先日,木に付いたカマキリの卵のう(卵鞘)を見かけました。卵はスポンジのような暖かい“ガウン”をまとっています。

数日して,庭の手入れをしているときのこと。ふと赤錆びた支柱の根元を見ると,カマキリの死体が横たわっていました。そこはコンクリート上。長く伸びたからだから出た脚は,それぞれの方向を向いて硬化しています。最期の姿のままなのでしょう。

 

威容を誇ったカマが錆び付いたように妙に古ぼけて見えます。

生きとし生けるものはすべていつかはいのち絶えるときが訪れます。このカマキリはたった一年の寿命しか授けられていません。春に生まれて,天敵からの難を無事に逃れ生き延びました。そして,秋を越し冬を間近にして死期を迎えたのです。

 

からだの色が大きく変化しています。濃い褐色が錆びた鉄とぴったり合っています。静かな静かな風景です

カマキリがいのちを託した卵は,卵のうに詰められて厳しい冬を乗り越えようとしています。温度が下がってからだが凍るのは致命的ですから,卵のうの壁は水分がしみ込まないしくみになっているはず。空気の泡が断熱効果を発揮しているでしょう。中では,いのちが春を待りながら寒さに耐えています。

冬はほとんどの生きものにとって,過酷な環境です。