1月29日(火)。晴れ。昼間,日が照って,無風で,比較的穏やかな時間帯がありました。「こんな天気なら,もしかするとマンサクに虫が来ているかもしれないな」と思って行くと,やっぱりです。
いちばん先に目に入ったのはクロヒラタアブ。はじめ枝に止まっていました。観察していると,枝を歩いて花に移動。そして蜜を吸い始めたのです。まだ蕾がほとんどなので,蜜にありつく確率は低いでしょう。にもかかわらず,黄色の花弁とかすかな匂いを敏感に感じとって訪れたのです。
細長い花弁を大きく開いて,大きな花に見せかけ,さらに花が集合体を形成していっそう目立つ戦略をとっています。他には花がないので,目立つといえば目立つ色合いです。黄色の花の中央が赤紫。そこに蕊が格納されています。昆虫は,色に引き込まれて巧みに導かれるようになっているのです。
「もっといないだろうか」と思いながら,探しました。いました,いました。どうやらヒメフンバエのようです。じっと見ていると,これも枝を歩いて花に移動。そうして吸蜜を開始しました。しかし,期待外れだったようで,淡白にもすぐに花を離れました。
そして,また別の花に。
もっといないか,見ていくと,体長が5mm程の小さなハエがいました。タネバエでしょうか。 花に完全にからだを入れて,しばらく蜜を吸っていました。
こんなに寒い時期でも,花が咲くとそれを待っていたかのようにして虫たちが訪れるという生物的事実が光って見えます。厳冬期にも咲く花があるということは,昆虫の訪問が期待できるからです。ある種の虫たちはそのことを心得て,少しの日だまりを見つけて動き回っていることが理解できます。
この日に観察できた昆虫は3種。こんなわけですから,マンサクの花を含めて冬の花に以前にも増して着目していこうと思っています。