自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャガイモの実生栽培,今年も(1)

2016-03-08 | ジャガイモ

今年もまた,種子からジャガイモを育ててみようと思います。蒔く種は昨年の7月に我が家の畑で採種したもの。ジャガイモの品種はホッカイコガネですが,それに生った実から得た種子は純正ホッカイコガネではありません。繰り返し書いてきたことですが,ジャガイモは自家不和合性といって,ホッカイコガネそれ自身の花粉が付いても実はできない植物であり,他品種の花粉が付いて初めて結実につながります。

したがって,ホッカイコガネに生った実(種子)はホッカイコガネの形質を強く受け継いでいますが,ホッカイコガネではなく他の品種との交配種ということになります。この場合の“他の品種”は近くで栽培されていたメークインや男爵などであり,それを昆虫たちが運んできて受粉の仲立ちをしているのです。そのため,種子の遺伝子はそれらの形質もまた受け継いでいるといえます。

そして,それらの形質の受け継ぎ方は一粒ごとに異なっています。その種子を植えると,当然,種ごとに異なった性質を持つ株に育ち,結果,株ごとに形質が異なってきます。もちろん,同一株内のイモはまったく同じ形質を持っています。

ジャガイモの品種改良は人為的に行われていますが,以上の筋道を踏まえて意図的に計画的になされているのです。

手元にある種子は,こうして我が家の畑で採種したものです。一粒一粒が,ホッカイコガネを母親としつつわずかに遺伝子情報が異なっているために,新たな品種になる可能性を秘めた種子です。

イモを植えるのと同じサイクルで種子を植えます。種子から育てる場合は,当たり前ながら,芽生えそのものが小さいのでイモも小さなものしか収穫できません。これまで何度かこれを繰り返して栽培経験を蓄積してきましたので,今年の目標を一歩前進させて「実生栽培でできるだけ大きなイモをつくる」ことにおこうと思います。

実から取り出した種子には果肉の一部が付いて乾燥したままです。それを取り除いてきれいな種を選別するのは大苦労。それで,今回は選別せずにそのまま蒔くことにしました。したがって,1ポットに蒔く数は適当数です。そいうわけでパラパラと蒔きます。それでも結果は大差ないはず。なにしろ,前回は発芽率80%に達したのですから。


3月7日(月)。準備していた種子は2つ。1つは昨年7月に採取したもの。もう1つは冬に実った果実から採取したもの。1月3日付け記事『ホッカイコガネ,秋の結実(続々々)』(写真中の実)で取り上げた実がそれです。


蒔いて,その上に薄く土を被せて灌水。


表面には紙を置いて,乾きを防ぎます。早ければ10日も経てば発芽の兆しが見え始めるでしょう。