自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

マンサク,そして昆虫(12)

2016-03-21 | マンサク

2月終わりの暖かな日のこと。マンサクは花盛りを終えて,すこしずつ花弁が落ちていきます。「こういう日はきっとなにかに出合えるはず」と期待して,農作業をしながら度々見ていました。やっぱり期待どおり!

大きめの黒いハエがやって来ました。花は見上げる高さにありました。蜜を舐めようとして花に頭を突っ込みかけたとき,わたしはコンデジを構えました。しかし敏感に気配を感じたらしく,飛び去りました。残念! したがって,写真なしです。

クモを2種確認しました。もちろん,訪花昆虫を待ち伏せているのです。一匹はウロコアシナガグモ。花にからだを入れていたので,もしかすると獲物を捕らえていたのかもしれません。とても小さいので,それを確かめることができませんでした。


もう一匹は,花の間に隠れていました。カニグモのなかま,ハナグモのようです。よくぞ目にとまったなあと,自分を褒めたくなるような状況で見かけたのです。なにしろ,枝や萼(がく)の色合いにそっくりなのですから。


わたしの動きを,身近な外界の出来事として感知しているようで,警戒を怠っていません。ゆっくり移動を始めました。 

 
おやおや,今度は枝にでも化けたつもりなのでしょうか。あっぱれ!


こんなふうに絶えず策略を巡らしているので,小さめの昆虫がそこに来ようものなら簡単に捕まりそうです。すっかり油断しているはずですから。と思って見て行くと,小さめの虫たちが目にとまりました。それらはよほど目を凝らさなくては見えない大きさです。


小型のクモにはぴったりの大きさに見えます。 


夢中で蜜やら花粉やらを舐めていたら,突然そこに! と想像するだけで,身近な世界の知らざる営みが見えてきます。厳しい掟の世界です。 

 
ユスリカのなかまもいました。この体長だと,同じように被害者になりうるでしょう。


クモだって外敵に常にねらわれています。それで警戒を怠ることはできません。わたしの動きにも反応して身を隠そうとしました。生きていくためには欠かせない行動なのです。「食べる」「食べられる」という食物連鎖の関係が,今年もまたマンサクで見られました。いのちのドラマが浮かぶ風景は緊迫感や躍動感があっていいものです。