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自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャガイモの実生栽培,今年も(3)

2016-03-19 | ジャガイモ

3月18日(金)。順調な発芽ぶりです。種子には土をほんの薄くかけている程度なので,地表に剥き出しになった状態のものがかなりあります。それらを見ていると,成長ぶりがよくわかって,納得できる点がたくさんあります。

その1つが根毛のこと。根毛は文字通り,“根の毛”です。英語でいえば“Root hair”。まずは写真をご覧ください。

 


根の先端近くに密生しているのがそれです。それこそ先端は新しい根が生まれゆく最前線であり,成長盛んなためにまだ根毛は生えていません。そこよりほんのすこし上側に根毛は生えます。その部分は成熟した箇所といえます。

 


成熟部分が土壌と接するところにある表皮細胞が,管状になって伸びます。これが根毛なのです。植物一般としてみれば,太さは15~17μm(マイクロメートル。0.015~0.017mm),長さは80~1,500μm(0.08~1.50mm)あたりなのだそうです。根毛を6,7本横に並べてやっと1mmになるのですから,その小ささは自ずと想像できるかと思います。

さらにこんな話はどうでしょうか。日本人女性の髪の平均的な太さが80μm(0.08mm)。すると,この5分の1が根毛1本の太さにあたる! そんな感じです。

 


根の先はどんどん成長を続けて地中深く潜っていきます。根は枝分かれもします。地上部が大きくなると,当然地中で根がしっかり張らなければなりません。それに応じて根毛もどんどんつくられていきます。どんどんつくられながらも,古くなった根毛は役目を終え,次々と死んでいきます。つまり,更新していくのです。寿命は短くて数日から長くて3週間ぐらい。

役目ということばを使いましたが,その最たるものは地中の栄養分(肥料分)と水分を吸収するというもの。それが横向きに伸びることで,細胞の表面積が数十倍に拡がります。拡がることで外界との接触面積が増加し,吸い上げるべきものを効率よく吸い上げます。根毛がなければ,植物は死に絶えます。

次には,土壌粒子をがっちりつかんで根を支え,結果として植物のからだを支持しているというもの。根毛がなければ,植物は倒れます。1本1本はか弱くても,生命維持のなんとも頼もしい担い手! 地の中の力!

根毛が写真のように剥き出しで姿が露わになっていると,日頃は見えない植物のふしぎがぐっと迫ってきます。「成長の裏に根毛あり」。

ついでに,同じところで写した写真を一枚どうぞ。名前不明の草ですが,根毛の様子がまたおもしろくって! 地表を這うように伸びています。