スイセンは花のすくない冬,花茎をすっくと伸ばしてその先に清楚な花を付けます。白や黄の色合いはもとより,その上品さが際立つ花だとわたしは思います。我が家の庭にも植えて,この花をたのしんでいます。
ところで,花の色は昆虫の誘引要因にちがいないのに,そこに昆虫が訪れている気配がさっぱりないふしぎな花です。ふつう,冬に咲いても昆虫は来ないと解釈するでしょう。「なのになぜ冬に咲くの? どんな昆虫に来てほしいの?」と問いたくなります。わたしはずっとそのことが気になっていました。
厳冬期の真実はわかりませんが,早春昆虫が出始めた頃の実態がすこし見えかけました。先日,訪花昆虫らしいものを目撃したのです。
所は山里の畑の片隅。黄色・白色のスイゼンが筋状に植え付けられていました。そこへモンシロチョウが3頭もつれ合いながら飛来。そうして,花に降り立ったのです。
ゆっくり近づいて撮影。下写真には2頭写っています。うち向こう側のチョウは中央付近にいて吸蜜しているかもしれません。こちら側は筒状になった副花冠上にいるので吸蜜は無理です。
そして,もっと近づきながら撮影。とまる位置がもっと下だったらいいのに。
さらに近づいて。やっぱり口吻は伸びていません。その瞬間気づかれて,逃げられてしまいました。たぶん,吸蜜に訪れたのでしょう。
目を移すと,隣りの花にハエのなかまが一匹。花の中から出てきたばかりの場面です。中にいるところが撮影できていたらばっちりだったのですが……。
こんなわけで,スイセンと昆虫との関係がちょっとだけ具体的になりかけました。