サクラはいい,ほんとうにいい。今年はとくにそう思います。さくい冬が続いて一気に春が訪れ,ぐんぐん気温が上がり,快晴続きだったのが幸いして,サクラが浮かれたように陽気に咲き誇りました。
昆虫と花との関係を事実に即して考えるのがわたしの観察テーマの一つです。サクラでも観察を続けているところです。そうはいっても,サクラは大木に生長するので,花は頭上高い所に咲くのが常。そこをなんとか観察しようとするのですから,お目にかかれる昆虫は当然少なくなります。
それで,低い所にある花を観察するほかはありません。その点,若木はちょうどよい観察木になります。以下,今春お目にかかった昆虫をご紹介しましょう。
ハチのなかまが一匹。蕊にとまっていました。花粉でもなめているのでしょうか。
近寄ってみると,口吻が見えます。胸部の背には花粉がかたまって付いています。花の奥に潜る姿勢になったときにでも付いたものと思われます。
蕊の上をゆっくり動きながら,吻を使って食餌をしているのです。頭部の前に黄色い斑紋があります。これは同定の手掛かりになります。と思って調べたら,ヤマトツヤハナバチと出ていました。す。
真横からも撮れるチャンスがありました。体長は1cmに達していません。
サクラは目で愛でても,匂いで愛でるという花ではありません。ウメの花とはずいぶん違います。花弁の色が昆虫を引き付け,花がわんさかと重なり咲くことで,所在をアピールしているのでしょう。それはヒヨドリが遠くからやって来るのを思うと,理解できます。
昆虫との関係で花見をたのしむのも一興かと思います。