へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

大好きな君に

2006-08-15 17:43:37 | へちま細太郎
お誕生日おめでとう。

夏休みの真ん中だから、誰も祝ってくれなかった、という言葉を覚えています。
今では会うこともないけど、会いたくても会えないけれど、遠くから幸せを祈っています。
もう一度、 お誕生日おめでとう大好きな君へ
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京都の思い出

2006-08-15 01:42:17 | へちま細太郎
細太郎の父のまたいとこの佐良田広之です。
細太郎の担任をしてますが、他の子供たちには内緒です。

藤川さんとこ~ちゃんに呼び出されて、はるばる来ました京都。
みなさんは、先生は夏休みはお休みだと思っているでしょうが、実は仕事をきっちりとしているんですよ。だから、今回も管理職に頭を下げて、こうしてやって来たわけです。

京都は、ぼくにとって苦い思い出の土地です。
高校時代、ぼくには彼女がいました。
ヤンキーだったぼくに、どうしてこんな彼女が、というくらいまじめな人だったんですよ。ぼくは自慢じゃないけど、成績は学校でもトップクラスでした。ヤンキーやりながら成績がいいのは、カンニングしたからだろうとか思わないでくださいね。それにぼくは、体操で全国優勝もしていましたから。
ぼくも彼女も一生懸命勉強して、彼女は関西の大学に、ぼくは東京の国立大に合格しました。離れ離れになったぼくたちは、夏休みに京都で会う約束をして別れました。彼女に会うために、ぼくはバイトに明け暮れ、夏休みになると京都に来ました。
それは、暑い日でした。
待ち合わせは、京都御所の建礼門の前。
暑い中、ぼくは御苑の砂利道の1本の線になったちゃりんこ道を見たり、比叡山を眺めたりしていました。
ですが、時間になっても彼女は来ません。
事故にでもあったかな、と心配になり不安で心がいっぱいになりました。
午後になって、1人の男性がやってきました。彼は、ぼくに告げました。
“彼女はこない”
と。
ぼくは泣きながら、御所の周りを歩き回りました。
責めたくても彼女はいません。卑怯な彼女を恨むより、彼女に会えない辛さがこたえました。
暑い夏の日の午後、風が吹いてきて、少しだけ涼しさを感じました。
僕は風の行方を御苑の木々を見上げながら追い、あふれる涙をぬぐっていました。一瞬、強い風がふき、ぼくの目の前をピンク色の傘が飛んでいきました。ぼくは傘を拾い、誰のかな、ときょろきょろと見回すと、
「すいませ~ん」
と、走ってくる女性がいました。ぼくは涙で真っ赤になった目に気づかれないように、帽子を目深かにかぶるとその人に傘を返しました。お礼を言って去って行くその人が、彼女の姿に重なって、よけいに涙が出てきました。
その後、彼女には会っていません。会いたいとも思いません。どうしているかな、と思うことはあってもそれだけです。

ただ、暑い夏の京都にいると、あの日に戻って、御所の建礼門の前に自然と足が向いてしまいそうになり、少しばかり胸の奥が痛んだりするのです。
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