皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

三嶋の祭りとお正月がいっぺんに

2022-01-16 23:13:10 | 心は言葉に包まれて

日本近代資本主義の父渋沢栄一から打って変わって、今年のNHK大河ドラマは中世武家社会の始まりを描く「鎌倉殿の13人」。先週から非常に楽しみに見ている。多くの人が様々な意見や感想をSNSで投稿し、そういったもので情報を得ながら一年間楽しみたいと思っている。
主人公北条義時演じるのは人気俳優小栗旬。大河ドラマ出演8作目にして堂々の主人公を射止めている。時代劇と現代劇が入り交じるような台詞回しで、歴史物語としてではなく、主人公を取り巻く人物劇として大いに楽しめている。

義時の父北条時政演じるのは歌舞伎俳優坂東彌十郎。大河初出演ながら、歌舞伎の他に多くの役をこなしてきた実力派だ。戦上手の交渉下手。憎めない義時の父親役となっている。

初回の放送で京の勤めを終え、地元伊豆に凱旋を果たし、縁者との宴を開きながら公家の娘を後妻に迎え、非常に喜ぶ時政のようすが面白くて仕方なかった。
三嶋の祭りと正月がいっぺんに来たようだ」
この台詞がとても印象に残っている。関東の私たちの感覚では「盆と正月がいっぺんいくる」というけれど、伊豆ではやはり三嶋の祭りなんだなと感心していた。

六年前に伊豆の国一の宮三嶋大社にお参りしている。神主を継いで暫く経ち、自らの本務社の勧請もとの神社にお参りしたいと思い、春先の旅路に伊豆熱川を選んで行った。伊豆三嶋大社は頼朝が平家打倒の旗揚げをした地として源氏にとってはまさに戦勝の御神徳を授けた神社。
その三嶋大社の例大祭は八月の15、16、17日の三日間。そう盆と重なるのだ。
まさしく盆と正月と同義語。

その後義時の兄宗時から、伊東から逃れてきた頼朝をかくまっていると知らされ、驚き嘆いて
「せっかく三嶋の祭りと正月が一緒に来たのに、弔い(葬式)まで重なっちまったよ」とのたうち回って叫んだ場面が非常に面白い。
日本では禍福は糾える縄のごとしといってよいこと悪いことは互いに交互にやって来るものとして、戒めのいみを大事にする。盆と正月がいっぺんに来るとは、めでたいことが重なると同時に、次は災いが降りかかるから気を付けろという意味を含んでいるのだろう。
一方欧米では、おめでたいことはHAPPY、神の起こしたhappen として心行くまで楽しみ受け入れる傾向があるという。
明らかに自然災害の多い日本とは異なる思考だと思う。

三谷幸喜の脚本はもちろん俳優陣の細かな所作、表情。そして時代背景や台詞まで、一年間大いに楽しみたいと思っている。
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鴻巣市 中三谷遺跡

2022-01-16 18:55:11 | 史跡をめぐり

鴻巣市にある運転免許センターにはその開設時、地盤調査の際古代集落遺跡が発掘されている。「中三谷遺跡」。
毎日多くの埼玉県民がここ鴻巣を訪れているが、中庭に展示されたその集落の復元模型に関心を寄せるひとは少ない。
遺跡は縄文時代の住居跡、弥生時代の遺構、古墳時代の住居跡、当時の生活様式と時代に沿って解説展示がされている。特に古墳時代に置いては、当地に置いて約1500年前に40軒以上以上の竪穴式住居が存在し、内部にはかまどを炊いて、集団で生活したことがわかっている。また堀立柱建物跡は高床式の倉庫で食料を貯蔵したことも知られている。

また住居跡の周辺には井戸や溝跡が検出されていて、集落全体が定住するのに必要なインフラ整備を進めていたことがわかっている。

展示の解説版の一部はかなり破損が進んでおり、残念なところもあるが、免許センター解説当時(昭和62年)当時の警察本部長の言葉が記されている

当センターがこの地域の歴史と共に歩む縁とするため発掘された竪穴式住居を大地に刻まれた先人の歴史の一部として復元し、時代を越えて語りかけてくる歴史ロマンとふるさと埼玉の温もりが感じられるならば望外の幸せです。
交通安全行政の重要施設を開設する際、思いの他の歴史にふれ、多くの人に知ってもらうことは地域の治安を預かる警察のトップとして思いの他幸せです。多くの埼玉県民が毎日のように訪れる施設でその思いを知るひとは少ない。
私はその思いを受け止めたいと思う。身近なところに先人の懸命に生きた証しは存在する。そうした思いをこれからも伝えていきたいと思う。
コメント (2)
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