加須市不動岡の総願時にはかつての忍城の城門が現存している。加須市の文化財に指定された黒門は忍城の北谷門であったという。
忍城は関東の名城として築城以来二百八十年の歴史を誇ったが、明治六年にすべて取り壊された。明治二十一年忍橋から東照宮境内南を通過して持田へ抜ける行田熊谷道が開通した。この道路工事の土木請負人であった不動岡の田村重兵衛の払い下げられた北谷門を、重兵衛は日頃から信仰する不動岡不動尊に寄進したという。黒門は総欅造りで門扉は一枚の玉木理であるという。
門扉上部の欄間の構造が松平候の菩提寺である桃林寺本堂の欄間と同時代のものと考えられている。持田の桃林寺は天保十三年(1833)の建立という。この黒門は忍城の城門として現存する唯一のもので、不動岡不動尊に移築されたのは明治二十二年元旦のことであるという。
現在門前には「くろもん」とう理容店が店を構えている。
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