物流が混乱し始めてからしばらく経った。マスク、紙製品中心に小売店の品薄、品切れが続いている。東日本大震災のあと、日配品の納豆の品薄が続いたのが記憶にあるが、今回も安定供給が出来なくなっているようだ。小売業におけるバイヤーの役割は2つ。商品開発と安定供給。消費者にとってより良い商品を選定することと同時に、常に必要とされる量を確保することが重要だ。
みんなが買っているから安心、欲しいという購買欲求をバンドワゴン効果と呼ぶ。元は行動心理学の用語で製品や事柄に対して大勢の人が支持すればするほどいっそう支持が集まる現象のことを指す。パレードにおける行列の先頭を行く楽隊車が語源となっているらしい。日本語の表現では「時流に乗る」「多勢に与する」「勝ち馬に乗る」といったところになるだろう。意味合いが少々異なるが、このバンドワゴン効果はいかにも縦隊列のような表現だが、横にすると「赤信号みんなで渡れば怖くない」といったところになるかもしれない。
流行りのものが欲しいという欲求は平時の日常生活に則したもので、今回のような、なくなると困るのでとりあえず欲しいという購買意欲とはやや異なるように思う。かつての流通最大手ダイエーは何から何まで品ぞろえすることで、集客しようとしたがかえって店づくりが単調となって、「何でもあるけれど、欲しいものがない」と謳われたのだった。
人は時に、無いものが欲しいのだ。その欲の元になるのは自己防衛本能かもしれないし、ただ単に平和ボケした思考停止の末路なのかもしれない。
自宅にこもりがちな子供たちが「鬼滅の刃」を夢中になって読んでいる、。単行本は完全に入荷待ち状態。ややバンドワゴンを狙った出版計画の様に感じてしまう(あくまで根拠のない私見です)。
「バンドワゴン効果」の対義語として「アンダードッグ効果」というのもあるらしい。「負け犬効果」というのはあまり聞かないが、選挙などにおいては不利な状況において同情心があつまること。選挙などにはこうした行動原理も考えられるが、こと購買行動においてはあまり見られない。
「欲」をコントロールすることは難しい。他人に影響されてまで買いまわることは大事な「時間」の浪費にもつながる。思考の停止だけはしないよう心掛けたいものだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます