皿尾城の空の下

久伊豆大雷神社。勧請八百年を超える忍領乾の守護神。現在の宮司で二十三代目。郷土史や日常生活を綴っています。

二十歳の献血

2022-01-22 21:37:15 | 物と人の流れ

鴻巣免許センターの敷地内には献血センターが設置されている。埼玉県民の多くが集まる施設に併設されており、規模は小さいが非常に多くの人が献血に協力している。

二十代の頃大学の先輩につれられて新宿の献血センターにいってから何年経ったか。その後サービス業を転々とするなかで、20年以上献血に協力できなかったけれど、昨年来2度ここに来ることができた。実は40代になって、特に少しでも社会貢献をと思い立ってから、2度献血の事前検査(少量の採血)ではねられている。ヘモグロビンの値が献血の成人男性の基準に達しなかったのだ。
一度目はたまたま職場の駐車場に来た献血巡回車で。二回目はここ鴻巣の免許センターで。

基準に達しないと献血ができない代わりに、その血液状態から見る生活指導を受ける。鉄分をとり、糖質に片寄り勝ちな食生活を改善するよう指導された。思いきって献血に行った上に血液の状態が不適格の上、指導受けて帰ると、かなりショックだった。もちろんそこには『社会貢献したい』という自己満足(認証欲求)と自分は健康でまだ若いという勝手な思い込みがあった。
以来一年かけて食生活を改善し(食べ過ぎないようにした)、水分をかなりとるようにして、昨年夏に事前採血で基準をクリアーし、今回また献血することができた。献血をきっかけに体重を落とすこともでき、若い頃の服(眠っていたスーツ)が着れるようになったことがごほうびのように思う。

献血に関する記事をざっと読み、一番感じたことは若い人の参加率が依然として低いこと。昔から言われていることだ。私の隣で献血していた男性(ずっと年上にみえた方)は70回の献血で記念品をもらっていた。
近年ラジオ等で『二十歳のスマート献血』というフレーズで、CMを流していた。『Lets!献血チャンス!!』を連呼したものだ。若い人には献血で社会貢献というよりは、おしゃれ感をもってもらえるようなイメージ戦略だ。
ある人いわく、日本赤十字社はもっと行政に働きかけて、献血に対するアドバンテージをつけなければならないと論じていた。献血自体は善意の行為として長らく日本の社会において続いているものだが、例えば献血によって得られた健康に関する情報を、社会保険とリンクさせて、保険料の割引や行政のポイントとして加算するなど、これまでより一歩踏み込んだ施策を始めるべきだと論じている。そう、若い人に善意だけで献血センターに足を運んでもらうことはもはや時代遅れだという。

そう、献血という必要不可欠な社会事業に対して、対象となるひとえのマーケティングが欠けていると論者は結んでいた。
献血することで満足することなく、さらにその先を見つめていかなければいけないと感じながら、献血センターのサービスドリンクで水分補給を終えた一日だった

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