NHK大阪制作による2021下期の朝ドラ「カムカムエヴリバディ」が、順調に放送されている。
「ちりとてちん」などでおなじみの藤本有紀の脚本と、帰国子女だけに英語も堪能な上白石萌音をはじめとする俳優陣はみな素晴らしい演技。
そして朝ドラ史上初、3代のヒロインの生きざまを100年にわたって描くという意欲作で、毎朝楽しく視聴している。
いや、ここまでの2ヶ月弱の展開は決して「楽しく」はない。
安子は戦争で夫・稔(松村北斗)をはじめ母・祖母も亡くし、生き延びたはずの父・金太(甲本雅裕)もナレ死。さらに娘・るいは安子のリヤカーに乗っていて事故に遭い額に一生傷を負い、義母・美都里(YOU)までもがナレ死。
義父・千吉(段田安則)に、義弟であり元々安子に思いを寄せる勇(村上虹郎)との再婚を薦められるが勇は女中の雪衣(岡田結実)と関係を持ち、妊娠させてしまう。戦争から生還した安子の兄・算太(濱田岳)は生家の菓子屋「たちばな」再建に向けて動き出すも、雪衣と勇の関係を知って衝撃を受け失踪。
さらに今朝は、安子を支えてきた兵士のロバート(村雨辰剛)が安子に優しくしているところをるいに目撃され、るいは安子を「I hate you!」と突き放してしまうのだ。
とまぁ、ここまではあの朝ドラ史上最大の問題作と云われる「純と愛」を遥かに上回る鬱展開で、視聴率は「おかえりモネ」より高いのだがここまでのストーリーは朝ドラとしては実にキツい。
詰め込まねばならない事が破綻をきたしているのか、今朝は15分の間にいくつもの疑問が頭に渦巻いた。
まず、安子は失踪した兄・算太を探してひとり岡山から大阪へ発つのだが、新幹線などなかった当時は岡山~大阪はとても2時間やそこらでは着かなかったはずだ。
さらに、るいもあの幼さでひとり汽車に乗り大阪へ向かうのだが、これも無理がありはしないか。
ワープと言えば2015年「あさが来た」は大阪~九州をワープしまくっていたが、正直それに近いものがある。
安子も、生きがいであり娘・るいにたった一度「I hate you!」と言われただけで、ロバートに「アメリカに連れてって…」とまで言うのもおかしい。
たかだか反抗期の娘の戯言だけに、そんな事でアメリカ行きなど育児放棄も甚だしい。
また、ネットでは雪衣のつわりが早すぎる事でザワついている。
関係を持ってからつわりまでには数週間はかかるだけに、もっと前から関係があったのか?という印象すら持ってしまう。
さらに今朝のエンディングでは、成長したるいとして深津絵里がワンショットだけ登場する。
深津絵里が美しい女優である事は言うまでもないが、実年齢50の女優に18歳をさせるのは、正直かなり無理があるのではないか?
前作「おかえりモネ」でも鈴木京香が回想シーン的に女子大生役をやっていたが、それ以上に無理がある。
今後も、半年で100年を描くためにそのようないくつもの「?」を抱えながら、話は進むのだろうか…?