(1)2012年、日本に格安航空会社(LCC)の3社が誕生した。ピーチ・アビエーション、バニラウェア、ジェットスター・ジャパンだ。
ピーチは、5~10月、2,000便規模の大量欠航を出すことになった。機長に多数の病欠者が出た上、採用が思うように進まなかったからだ。
ピーチの現行のパイロット数は、108人で、うち機長は52人いる。年初から4月までに、病気と怪我に加え、航空法が定める身体検査の基準を満たせずに就業できない機長が8人も発生した。
ピーチは、沖縄で異常降下し、海面ギリギリを飛行する重大アクシデントを惹起し、信用を落としつつある。
(2)パイロット不足はピーチに限らない。航空業界全体の共通課題となっている。
200万円の持参金を積まれて、あるLCCからヘッドハンティングされたパイロットもいる。
ピーチでは、創業以来、すでに10人のパイロットが退職している。
バニラウェアも、かろうじて何とか足りている状態だ。
ジェットスター・ジャパンには、現在130人ほどパイロットが在籍しているが、うち数人は提携関係にあるジェットスターグループからの移籍で賄っている。
(3)LCC3社のエアバスA320型機の保有機数は、2014年4月末現在、36機だ。
国土交通省航空局の予測によれば、
(a)国内のパイロットは5,700人(2013年1月現在)。
(b)6,700~7,300人が必要(2020年現在)。
(4)日本人パイロットの数は急には増えない。
パイロットの供給源は、航空大学校や大手航空会社の自社養成に限られる。
東海大学や桜美林大学など一部の私立大学でもパイロット養成課程があるが、本人負担が1,300万円~2,600万円と非常に高額なことがネックになっている。
しかも、航空大学校を出て副操縦士としての経験を積み、一人前の機長が養成されるまでには10年以上かかる。
(5)パイロット不足に対処するため、政府は今年、防衛省のパイロットを民間移転させる制度を復活させた。
政府はまた、外国人パイロットの採用を円滑にするため制度の見直しを検討している。
しかし、外国人パイロットの採用は思うように進んでいない。なぜなら、パイロット不足は世界共通の課題であり、日本のLCCよりも海外のLCCの方が待遇がいいからだ。外国人パイロットは、当然、海外へ流れる。
実際、バニラウェアのパイロット57人のうちに外国人はいない。
パイロット不足は、当分解消のめどが立ちそうもない。
(6)元来、LCCは、機材や人材に余裕を持たず、そのぶん低価格運賃を提供するビジネスモデルだ。
余裕人材を抱えれば、コストは跳ね上がる。
日本の空にLCCが誕生して2年。早くも曲がり角を迎えている。
□記事「ピーチの大量欠航で露呈したパイロット不足危機の構造」(「週刊ダイヤモンド」2014年5月17日号)
↓クリック、プリーズ。↓
ピーチは、5~10月、2,000便規模の大量欠航を出すことになった。機長に多数の病欠者が出た上、採用が思うように進まなかったからだ。
ピーチの現行のパイロット数は、108人で、うち機長は52人いる。年初から4月までに、病気と怪我に加え、航空法が定める身体検査の基準を満たせずに就業できない機長が8人も発生した。
ピーチは、沖縄で異常降下し、海面ギリギリを飛行する重大アクシデントを惹起し、信用を落としつつある。
(2)パイロット不足はピーチに限らない。航空業界全体の共通課題となっている。
200万円の持参金を積まれて、あるLCCからヘッドハンティングされたパイロットもいる。
ピーチでは、創業以来、すでに10人のパイロットが退職している。
バニラウェアも、かろうじて何とか足りている状態だ。
ジェットスター・ジャパンには、現在130人ほどパイロットが在籍しているが、うち数人は提携関係にあるジェットスターグループからの移籍で賄っている。
(3)LCC3社のエアバスA320型機の保有機数は、2014年4月末現在、36機だ。
国土交通省航空局の予測によれば、
(a)国内のパイロットは5,700人(2013年1月現在)。
(b)6,700~7,300人が必要(2020年現在)。
(4)日本人パイロットの数は急には増えない。
パイロットの供給源は、航空大学校や大手航空会社の自社養成に限られる。
東海大学や桜美林大学など一部の私立大学でもパイロット養成課程があるが、本人負担が1,300万円~2,600万円と非常に高額なことがネックになっている。
しかも、航空大学校を出て副操縦士としての経験を積み、一人前の機長が養成されるまでには10年以上かかる。
(5)パイロット不足に対処するため、政府は今年、防衛省のパイロットを民間移転させる制度を復活させた。
政府はまた、外国人パイロットの採用を円滑にするため制度の見直しを検討している。
しかし、外国人パイロットの採用は思うように進んでいない。なぜなら、パイロット不足は世界共通の課題であり、日本のLCCよりも海外のLCCの方が待遇がいいからだ。外国人パイロットは、当然、海外へ流れる。
実際、バニラウェアのパイロット57人のうちに外国人はいない。
パイロット不足は、当分解消のめどが立ちそうもない。
(6)元来、LCCは、機材や人材に余裕を持たず、そのぶん低価格運賃を提供するビジネスモデルだ。
余裕人材を抱えれば、コストは跳ね上がる。
日本の空にLCCが誕生して2年。早くも曲がり角を迎えている。
□記事「ピーチの大量欠航で露呈したパイロット不足危機の構造」(「週刊ダイヤモンド」2014年5月17日号)
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