《甲》紀文「枝豆とうふ」
《乙》三和豆水庵「豆乳仕込み枝豆野郎」
《丙》むつみ「濃密冷やっこ枝豆」
(1)夏に定番の「ビールに枝豆」は、非常に理に適った食べ合わせだ。
枝豆には、アルコールを分解促進するビタミンB1やC、肝臓機能を高めるコリンが含まれている。だから、飲酒による二日酔いや悪酔い予防に効果がある。
そのせいか、夏が近づいてくると、スーパーの豆腐棚には枝豆豆腐が多く登場する。
(2)豆腐は、大豆の熱水可溶性成分(豆乳)にタンパク質凝固剤(にがりなど)を加えて作る代表的な大豆加工食品だ。
にがりは伝統的に使用されてきた添加物で、豆腐は無添加では作れない食品だ。
だから、豆腐の必須原材料は大豆とにがりの二つだ。枝豆豆腐には枝豆も必須原材料となる。
だが、《甲》には、タンパク質凝固剤が使用されていない。寒天が豆腐状に固め、ゲル化剤が豆腐独特の食感を出している。《甲》の商品名は「枝豆とうふ」となっているが、実は名称【注】は「そうざい」なのだ。
だから、タンパク質凝固剤が使用されていなくても何ら問題はないが、豆腐と誤解する人もいる。
(3)《甲》のゲル化剤として使われる増粘多糖類は一括表示の添加物で、使用可能な成分には安全性の高いものから危険性の高いものまであり、どの成分がどれくらい使用されているかわからない。不安要素が大きい添加物だ。
食品の変色や変質を防止するpH調整剤も増粘多糖類と同様、一括名表示の添加物のため、安全性が担保されていない添加物だ。
(4)《甲》《乙》《丙》に共通して使用されている添加物は、着色料のクチナシ色素だ。クチナシ色素は、クチナシ(アカネ科)の果実から抽出される天然の着色料で、生成方法によって黄・青・赤の3色を得る。
黄色素は、クチナシの果実から得られたクロシンおよびクロセチンが主成分。
青色素・赤色素は、クチナシの果実からイリドイド配糖体を抽出し、酵素処理などで分離して作られる。
古来着色として使用されているクチナシ色素だが、黄色素は下痢や肝臓への影響、青色素はアルテミア・サリーナ(1億年前から変化していないとされる小型の甲殻類)に対する死亡率が高いという報告もあり、安全性については再検討が必要との指摘がある。
現に長く認可されていたアカネ色素が遺伝子変異や発癌性への影響がわかり、使用禁止された事例(2004年)を鑑みると、今後クチナシ色素への安全性評価が変わっていくことは十分可能性がある。
また、表示が「着色料(クチナシ)」「クチナシ色素」となっているため、3種類(黄・青・赤)のうちどの色素が使用されているか不明内な点も消費者には不安だ。
(5)栄養価に優れた豆腐だが、嗜好でさまざまな味を追求していくと、どうしても添加物を多く使用することになる。食品のヴァリエーションが増えることは、食生活を豊かにしてくれるが、半面、不必要な添加物を摂取してしまうことにつながる。
【注】加工食品の表示に係る定め・・・・加工食品品質表示基準(制定:平成12年3月31日農林水産省告示第513号/最終改正:平成24年6月11日消費者庁告示第5号)によれば、
(加工食品の義務表示事項)
第3条 加工食品の品質に関し、製造業者、加工包装業者、輸入業者又は販売業が加工食品の容器又は包装に表示すべき事項は、次のとおりとする。(中略)
(1)名称
(2)原材料名
(3)内容量
(4)賞味期限
(5)保存方法
(6)製造業者等の氏名又は名称及び住所
(加工食品の表示の方法)
第4条 前条第1項第1号から第6号までに掲げる事項〈中略〉の表示に際しては、製造業者等は、次の各号に規定するところによらなければならない。
(1)名称
その内容を表す一般的な名称を記載すること。(後略)
□沢木みずほ「目にも涼やかな枝豆豆腐 中には何が入っていますか?」(「週刊金曜日」2016年7月15日号)
↓クリック、プリーズ。↓

【参考】
「【食】「水素水」ブーム便乗商品に気をつけろ ~効果は疑問~」
「【食】炭酸水の飲み方には気をつけたい ~糖類や食品添加物~」
「【保健】「新世代エコ洗剤」は本当にエコか ~AESの悪影響~」
「【食】明太子やたらこも癌リスクを高める ~亜硝酸Na、タール系色素~」
「【食】「加工肉」の危険性に改めて目を向ける ~発癌性~」
「【食】一部の「有機ワイン」に入っている添加物 ~亜硫酸塩~」
「【食】「トクホのノンアルコールビール」 ~その危険性~」
「【食】新しい「コカ・コーラ」は体にやさしいか ~買ってはいけない~」
「【食】買ってもいいインスタント食品」
「【食】「高級インスタントラーメン」に含まれる食品添加物」
「【食】お手軽「流水麺」の落とし穴」
《乙》三和豆水庵「豆乳仕込み枝豆野郎」
《丙》むつみ「濃密冷やっこ枝豆」
(1)夏に定番の「ビールに枝豆」は、非常に理に適った食べ合わせだ。
枝豆には、アルコールを分解促進するビタミンB1やC、肝臓機能を高めるコリンが含まれている。だから、飲酒による二日酔いや悪酔い予防に効果がある。
そのせいか、夏が近づいてくると、スーパーの豆腐棚には枝豆豆腐が多く登場する。
(2)豆腐は、大豆の熱水可溶性成分(豆乳)にタンパク質凝固剤(にがりなど)を加えて作る代表的な大豆加工食品だ。
にがりは伝統的に使用されてきた添加物で、豆腐は無添加では作れない食品だ。
だから、豆腐の必須原材料は大豆とにがりの二つだ。枝豆豆腐には枝豆も必須原材料となる。
だが、《甲》には、タンパク質凝固剤が使用されていない。寒天が豆腐状に固め、ゲル化剤が豆腐独特の食感を出している。《甲》の商品名は「枝豆とうふ」となっているが、実は名称【注】は「そうざい」なのだ。
だから、タンパク質凝固剤が使用されていなくても何ら問題はないが、豆腐と誤解する人もいる。
(3)《甲》のゲル化剤として使われる増粘多糖類は一括表示の添加物で、使用可能な成分には安全性の高いものから危険性の高いものまであり、どの成分がどれくらい使用されているかわからない。不安要素が大きい添加物だ。
食品の変色や変質を防止するpH調整剤も増粘多糖類と同様、一括名表示の添加物のため、安全性が担保されていない添加物だ。
(4)《甲》《乙》《丙》に共通して使用されている添加物は、着色料のクチナシ色素だ。クチナシ色素は、クチナシ(アカネ科)の果実から抽出される天然の着色料で、生成方法によって黄・青・赤の3色を得る。
黄色素は、クチナシの果実から得られたクロシンおよびクロセチンが主成分。
青色素・赤色素は、クチナシの果実からイリドイド配糖体を抽出し、酵素処理などで分離して作られる。
古来着色として使用されているクチナシ色素だが、黄色素は下痢や肝臓への影響、青色素はアルテミア・サリーナ(1億年前から変化していないとされる小型の甲殻類)に対する死亡率が高いという報告もあり、安全性については再検討が必要との指摘がある。
現に長く認可されていたアカネ色素が遺伝子変異や発癌性への影響がわかり、使用禁止された事例(2004年)を鑑みると、今後クチナシ色素への安全性評価が変わっていくことは十分可能性がある。
また、表示が「着色料(クチナシ)」「クチナシ色素」となっているため、3種類(黄・青・赤)のうちどの色素が使用されているか不明内な点も消費者には不安だ。
(5)栄養価に優れた豆腐だが、嗜好でさまざまな味を追求していくと、どうしても添加物を多く使用することになる。食品のヴァリエーションが増えることは、食生活を豊かにしてくれるが、半面、不必要な添加物を摂取してしまうことにつながる。
【注】加工食品の表示に係る定め・・・・加工食品品質表示基準(制定:平成12年3月31日農林水産省告示第513号/最終改正:平成24年6月11日消費者庁告示第5号)によれば、
(加工食品の義務表示事項)
第3条 加工食品の品質に関し、製造業者、加工包装業者、輸入業者又は販売業が加工食品の容器又は包装に表示すべき事項は、次のとおりとする。(中略)
(1)名称
(2)原材料名
(3)内容量
(4)賞味期限
(5)保存方法
(6)製造業者等の氏名又は名称及び住所
(加工食品の表示の方法)
第4条 前条第1項第1号から第6号までに掲げる事項〈中略〉の表示に際しては、製造業者等は、次の各号に規定するところによらなければならない。
(1)名称
その内容を表す一般的な名称を記載すること。(後略)
□沢木みずほ「目にも涼やかな枝豆豆腐 中には何が入っていますか?」(「週刊金曜日」2016年7月15日号)
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【参考】
「【食】「水素水」ブーム便乗商品に気をつけろ ~効果は疑問~」
「【食】炭酸水の飲み方には気をつけたい ~糖類や食品添加物~」
「【保健】「新世代エコ洗剤」は本当にエコか ~AESの悪影響~」
「【食】明太子やたらこも癌リスクを高める ~亜硝酸Na、タール系色素~」
「【食】「加工肉」の危険性に改めて目を向ける ~発癌性~」
「【食】一部の「有機ワイン」に入っている添加物 ~亜硫酸塩~」
「【食】「トクホのノンアルコールビール」 ~その危険性~」
「【食】新しい「コカ・コーラ」は体にやさしいか ~買ってはいけない~」
「【食】買ってもいいインスタント食品」
「【食】「高級インスタントラーメン」に含まれる食品添加物」
「【食】お手軽「流水麺」の落とし穴」