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池袋ふくろう物語#13前篇

2011年10月27日 21時41分35秒 | 池袋フクロウ物語

池袋ふくろう物語#13 前篇

 

9月のある日、えんちゃんはいけぶくろに出かけました。

8月の間はふくろ森で遊んでいたので、久しぶりの池袋です。

 

おもしろいものはないかなと思いながら飛んでいると、

植物のつるが見えるおうちがあります。

 

いつもなら車や電車、人間が見えるのに、

しょくぶつのつるが見えたのはははじめてでした。

 

あれはなんだろう?えんちゃんは飛ぶのをやめて、おうちの近くの木にとまりました。

つるがあるところを見ると、うえきばちにゴーヤが植えてありました。

うえきばちには「みどりのカーテン」と書いてあります。

 

あみにゴーヤのつるをまかせて、

カーテンのようにしているのです。

 

ゴーヤの向こうにはおうちの窓があって、

 おもしろいなぁと思ってえんちゃんが見ていると、人間の声が聞こえてきました。

小さな男の子と、おばあちゃんが外に出てきてしゃべっているようです。

 

「わぁ、すごいねこれ!なんていうの?」

 

「ゴーヤって言うのよ」

 

「なんでみどりのカーテンって書いてあるの?」

 

「ほんもののカーテンみたいにひかげをつくってくれるから、暑い日でも涼しいんだよ。

それにね、もっとすごいことがあるんだよ。」

 

「なぁに?」

 

「このカーテンはね、できたゴーヤを食べられるんだよ」

 

「ほんと?これ食べれるの!」

 

「そうだよ。そこに二つ食べごろがあるから夜ごはんの時に食べようね」

おばあちゃんは、持っていたハサミでちょきんとゴーヤのつるを切りました。

二つの大きなゴーヤは、大きなおさらにおかれました。

 

その時、家の奥の方から赤ちゃんの泣く声がしました

「ゆうちゃんがおきたみたいだね、おなかがすいてるのかもしれない!

おばあちゃん、はやくいこうよ!」

男の子とおばあちゃんはお家の中に入っていきました。

 

あわてていたのか、ゴーヤのお皿はおきざりにされています。

 

えんちゃんは二人にきづかれないように、そっとゴーヤに近づきました。

ゴーヤはでこぼこしていていましたが、おひさまの光が当たってとてもきれいでした。

 

これを食べれる男の子はいいなぁと思っていると、

二人が出てくる音がしたので、えんちゃんはいそいで飛び立ち、そのままおうちに帰りました。

 

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